DCニュース

 

企業年金連合会、DCの研修・相談メニューを拡充し継続教育事例集も編集へ

2014-10-29

 企業年金連合会の確定拠出年金(DC)サポートメニューが拡充されている。企業年金連合会は、「DC実態調査」によって企業におけるDC制度運営の実態を調査し情報発信する一方、厚生労働省社会保障審議会の企業年金部会においても理事長がオブザーバーとして議論にも参加して企業年金の実務に携わる者の立場から意見を発信し続けるなど、企業年金の制度拡充や、適正な制度運営のサポートなど、企業年金制度のエキスパートとして様々な取り組みを行ってきている。DCについての現在のサービス内容と今後の取り組みについて、企業年金連合会会員センター次長の山田伸二氏(写真:中央)、同調査役確定拠出年金担当の山崎俊輔氏(写真:右)、同研修課長技能開発・認定室長の太田良子氏(写真:左)に聞いた。

DCにおける企業年金連合会の役割は?

山田:DCに対しては、会員サービスとして研修やセミナー、情報交換会、またDC実態調査の実施や各種情報提供など、様々な面で制度運営を幅広くサポートしています。特にDCの継続教育については、連合会が実施している実態調査の結果から、制度を導入して一定年月が経過しても未実施の企業が3割~4割もあり、その取り組みに企業格差が出ていることが懸念されています。連合会では研修メニューを拡充するなどによって、DCの企業担当者の業務知識や実務ノウハウの向上に努めています。

太田:具体的には、今年度からDCを検討・導入予定の企業担当者向けに「DC制度導入研修」を新設するとともに、「DC継続教育(投資教育)研修」、「DCステップアップ研修」、「確定拠出年金管理士研修」の実施回数をそれぞれ年1回だったものを2回に拡大しました。また、今年5月から「DC継続教育相談窓口」を新設し、企業担当者から継続教育についての課題解決に向けた個別相談に応じるようにしています。

 研修に対する企業のニーズは近年拡大し、昨年は1年間で研修への参加者は総勢で約300名と拡大したのですが、今年は一段と伸びて約400名に達する勢いです。

山田:また、現在、DC導入企業各社の継続教育の事例を集めてマニュアル化することをめざす「継続教育事例集(仮)」を取りまとめるためのヒアリングを進めています。さらに、中小企業の継続教育のサポートとして、DCの実際の運用者である加入者を集めて行う「会員合同継続教育セミナー(仮)」を検討しております。

今年から始めた「DC継続教育相談窓口」では、どのような相談対応をなさっているのですか?

山崎:継続教育の実施方法などについての企業担当者からの問い合わせに個別に対応しています。専用の相談窓口を開設するために、担当人員も増員しました。相談は、電話、メールが中心ですが、個別面談による相談にも積極的に応じています。中には地方の企業から、東京出張の際に連合会の窓口を訪ねてくださるケースもあります。

 具体的な相談内容は、継続教育の実施方法についての相談がメインになっています。どのような工夫をすれば、継続教育への従業員の参画意識を高められるのかなど、連合会が蓄積してきた事例などを紹介しています。継続教育の実施プランの策定についてなど、かなり踏み込んだ相談にも応じています。原則は会員向けサービスとして行っていますが、非会員の方からの問い合わせについても疑問には答え、可能な範囲で電話での相談にも応じるようにしています。

 このように個別で相談を受けると、各企業において継続教育のメニューの開発には苦労されていることが良くわかります。ヒアリングを進めている「継続教育事例集(仮)」は、そのような継続教育の成功事例や失敗事例などを集約し、今後の継続教育のメニューを企画していくための助けになるような冊子にしたいと考えています。

企業年金連合会では「企業年金管理士(確定拠出年金)」(以下、「DC管理士」)の認定制度を設けていますが、「DC管理士」という資格は、今後、企業のDC担当者に必須の資格になるのでしょうか?

太田:「DC管理士」は、企業においてのDC制度担当者が実務を円滑に運営していくための実践的知識や技能を体系的に習得することを目的にしたものです。DC担当者に必須の資格という位置づけではありませんが、自己の能力開発、資質の向上に活用していただければと思います。連合会で行っている「DC継続教育(投資教育)研修」と「DCステップアップ研修」の受講を、認定試験の受験要件にし、これらの研修内容を理解し、適切な制度運営を検討・実行できる方を「DC管理士」として認定しています。

 認定試験に合格した方には、認定証を発行するとともに、所属法人についても「DC管理士」を任用していることによって“DC制度の拡充に努めていることを証明する”という「証明証」を発行しています。実際に、各企業においては、DC担当は他の業務との兼務担当のことが多く、また、人事ローテーションによって担当者は数年で交代するケースがほとんどなので、「DC管理士」の資格認定によって運営の事務手続きについては一通りの知識が得られているということが担保されることで企業のDC加入者の方々にとっても安心材料になると思います。

 「DC管理士」の認定証は、自己研鑽を促すためのツールのひとつですが、2013年に認定制度がスタートして、これまでに94人の方が受験し、92人が合格するなど、大変高い合格率となっています。この合格率の高さは、DCの専門研修の内容が受講される方々にしっかり定着しているという確認にもなると思います。また、認定後のフォローアップもかねて、DC管理士意見交換会も開催し、DC管理士の交流の機会としています。

今後、企業年金連合会としてDC制度の普及・発展のために取り組んでいくことは?

山田:厚生労働省社会保障審議会の企業年金部会には、連合会理事長がオブザーバーとして参加し、企業年金を運営する現場の声を部会の議論に反映できるように努めています。企業年金部会は、並行して行われている年金部会と合わせて、これからの社会保障制度に関わる重要な議論の場になっていると思いますので、ここで、制度運営の主体を担っている企業の現場からの声を反映させることができるようにしていきたいと考えています。

 一方、研修やセミナーなどは一段と充実を図っていきます。また、統計資料として2006年以来継続している「DC実態調査」については、従来は3年ごとに実施してきましたが、今年度以降は毎年調査することにしました。DC制度の運営状況を把握する客観的な統計資料として制度改正に役立てるとともに、タイムリーな実態把握に努め、会員各社にフィードバックすることで運営・運用の改善に役立てていただきたいと思っています。

実際に企業の状況を調査し、日頃からの接点も密に持ってきている立場として、DC制度の発展・成長のために、制度改正にあたっては、どのような点が重要だと考えていますか?

山田:今回の企業年金部会での議論は、DCだけではなく、DBや厚生年金基金なども含めた議論になっています。公的年金制度を補完する重要な役割を担っていく企業年金制度を充実させるために、議論を通じて運用する企業にとって使いやすく、制度に加入する従業員にとって一段と役に立つ仕組みになっていくことが何より重要です。

 そのなかでDC制度が企業ニーズにより適った内容になるためには、拠出限度額の問題があります。拠出限度額の拡大、また企業拠出額が上限になっているマッチング拠出の枠を柔軟にすることなどがテーマになるでしょう。

 次に、投資教育が有効に働くような仕組み、加入者がより関心を持つような制度に変わっていくことも重要だと感じます。

 また、現在のDC制度が中途引出しについて、原則不可となっている制度という点も見直す必要があると思います。多くの企業では、退職金の一部として企業年金を位置づけていますので、退職時に必要であれば一部を引き出せるようにすれば導入する企業もさらに拡大するのではと考えられます。

 これらの論点は、企業年金部会でも議論されているテーマですので、引き続き、議論の行方を見守っていきたいと思います。

バックナンバー

2014 | 2015 | 2016 | 2017