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第27回年金部会、短時間労働者の厚生年金加入を大幅拡大で第3号縮小の方針

2014-11-05

 厚生労働省は、2014年11月4日に開催された社会保障審議会の年金部会(第27回)で、「働き方に中立的な社会保障制度」の確立に向け、「2016年10月施行の『年金機能強化法』改正による第2号被保険者の対象者拡大を図る一方、第3号被保険者制度は原則として縮小・廃止をめざす」という方向性を改めて確認した。(写真は、第27回年金部会の様子)

 年金部会で議論されたのは、「働き方に中立的な社会保障制度について(いわゆる「130万円の壁」の問題、第3号被保険者制度など)」、「第1号被保険者の産前産後期間の保険料の取扱いについて」、そして、「遺族年金制度の在り方について」。

厚生年金の適用拡大は16年10月以降すみやかに再拡大へ

 特に、「働き方に中立的な社会保障制度について」では、2014年10月21日の経済財政諮問会議に厚生労働大臣である塩崎恭久氏が提出した「女性の働き方に中立的な社会保障制度」の内容を紹介。その提出資料では、個人にとって社会保険料負担が生じない年収130万円未満の働き方(130万円の壁)、事業主にとって社会保険料負担が発生しない週30時間未満の就労時間(被用者保険適用の壁)が、第3号被保険者に留まることを選択させていると指摘。被用者でありながら被用者保険(厚生年金や各種共済)の恩恵を受けられない非正規労働者に被用者保険を適用し、社会保険における格差を是正するために、短時間労働者への適用拡大を促すことが重要としている。

 すでに2016年10月から適用拡大が決まっているのは、(1)週20時間以上、(2)月額8.8万円以上、(3)勤務期間1年以上、(4)学生は適用除外、(5)従業員501人以上――などの条件を満たす約25万人が対象。さらに、適用拡大の努力を重ねることは法律の附則にも明記されている。塩崎大臣の提出資料の中で、「一定の賃金収入(月5.8万円以上)のある所定労働時間週20時間以上の短時間労働者への適用拡大(対象者:220万人)」、「一定の賃金収入(月5.8万円以上)がある全ての被用者への適用拡大(同:1200万人)」などの案が示されている。

 年金部会では、「できるだけすみやかに、適用拡大を進めるべき」という意見が大勢。そして、「新たに保険料負担が増えることに対するベネフィットを明確に打ち出すことが必要」、「第3号被保険者のままであれば基礎年金部分しかない年金が、保険料を負担することによって、厚生年金部分が上乗せされ年金給付が大きく増えることなど、制度の内容を分かりやすく伝えることも大事」という意見が出た。一方、「現在の第3号被保険者制度は、いわゆる専業主婦だけに利用されているのではなく多様な属性を持つ人が混在していることを踏まえた検討が重要である」という指摘もあった。

共働き世帯の一般化など社会情勢に合わせた改正へ議論一巡

 また、「第1号被保険者の産前産後期間の保険料の取扱いについて」では、現在の第2号被保険者には休業によって賃金収入がなくなった期間に保険料負担を免除する仕組みがあることに対して、国民年金(第1号被保険者)にはそのような免除措置が講じられていない不公平を是正しようとする議論。これについては、国民年金財政がひっ迫している実情に鑑み、保険料免除措置を取った場合の財源を「厚生年金の財源の一部をあてることを検討する」という案も出されたが、「安易に国民年金と厚生年金を一体として考えるべきではない」という慎重論も強く出た。

 さらに、「遺族年金制度の在り方について」については、「世帯の生計の担い手が死亡した場合に、その者によって生計を維持されていた遺族の生活が困難にならないよう」という趣旨で設定された遺族年金制度が、「共働きが一般化する中で、世帯の生計の担い手という考え方が社会実態に合わなくなっている」ことへの対応を議論した。既に、2014年4月から遺族基礎年金が父子家庭にも拡大されるなど、遺族年金の男女差の解消が図られつつあるが、依然として男性が遺族年金を受ける際の不利が残っている。

 第27回までの議論によって、公的年金制度の検討課題についての議論は一巡したということが部会長(東京大学名誉教授の神野直彦氏)によって示された。今後は、企業年金部会との合同会議の開催も含めて、横断的な議論を行って、年内をメドに部会における議論を整理する。

GPIFの運用方針について改めて説明の機会を設定

 一方、部会の最後に「年金積立金の管理運用に係る法人のガバナンスの在り方検討作業班」の委員の名簿が示された。また、2014年10月31日に決定した年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の基本ポートフォリオの変更についての資料が示され、今後、年金部会の場で、改めてGPIFの基本ポートフォリオの変更等について説明の場が持たれることになった。

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