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三井住友海上、簡便・低コストの総合型DCで中小企業の退職制度を支える

2014-11-10

三井住友海上火災保険株式会社
金融事業部 企画・管理チーム課長
野田卓人氏

 三井住友海上火災保険は、1つの規約に基づく制度運営に複数の企業が参加することで1社当たりの運営費用を抑えられる、総合型の確定拠出年金(DC)制度を、中堅・中小企業に提案している。2014年4月に施行された改正年金法によって、中小企業が主として入っていた厚生年金基金の新設が認められなくなり、既存の厚生年金基金の9割は5年以内に解散決議することになるといわれている。現実に、解散した厚生年金基金が増加しており、中堅・中小企業の対応は待ったなしだが、解散する厚生年金基金の受け皿にDC制度を検討する企業も少なくない。三井住友海上火災保険金融事業部 企画・管理チーム課長の野田卓人氏(写真)に、総合型DC制度から見えてくるDC市場の変化と、同社の総合型DC制度の特徴について聞いた。

2001年10月に確定拠出年金法が施行されて10年以上が経過しましたが、DCについての企業の取り組み姿勢やニーズなどの変化を感じておられますか?

 当社は2006年から運営管理機関の業務をスタートし、DC事業を本格的に展開しています。この1年間は、DCに関する問い合わせが目立って増えてきているという印象を強く持っています。

 特に、2013年6月に成立した改正年金法によって、多くの厚生年金基金が解散を検討するに至っており、総合型の厚生年金基金に加入する中堅・中小企業の退職給付制度に大きな変革が求められています。

 また、2012年3月末で廃止された適格退職年金制度に代わって総合型のDB(確定給付型企業年金)を導入した企業の中には、財政再計算(掛金の再計算)で企業負担が増加するために、退職給付制度を改めて見直したいと考える企業もあります。

 さらに、景気回復機運が高まったことで、ベンチャー企業や外資系企業の一部には、新たに退職給付制度を設けようと考えるところが現れています。これから導入する企業年金制度としてはDCが一番良いと考えて、相談に来られる企業は増えています。

貴社が運営管理を担当しているDC制度全般の傾向として、加入者の運用における元本確保型比率の割合、マッチング拠出の利用状況などは?

 元本確保型商品による運用は、全体の60%程度になっています。継続教育によって資産運用セミナーを実施した企業で、セミナーの後に投資信託での運用割合が高まるなど、スポット的な変化はあるのですが、全般的な制度の利用状況には、あまり大きな変化は感じられません。

 マッチング拠出については、制度導入企業の20%程度で制度を導入しています。12年1月にマッチング拠出が可能となった以降にDCを導入した企業では、40%程度が制度導入当初からマッチング拠出を入れています。

貴社が運営管理機関としてサービスを提供しているのは、主として中堅・中小企業なのですか?

 DC制度が発足した当初は、大企業を中心にDC制度の導入が進んでおり、当社は、損害保険会社として運営管理機関に「確定拠出年金積立傷害保険」やDC向け投信の提供を行っていました。

 DC制度が普及期を迎えると、中堅・中小企業もDC導入の検討が進みますが、大手運営管理機関では対応できないという状況も出てきました。中堅・中小企業では大企業で導入するよりも、もっと簡便でコストも安い制度が求められていました。

 そこで、複数の事業会社が1つの規約に加入することで、制度運営の費用等を割安にできる総合型DC制度の提案を中心に、運営管理業務をスタートしました。現在、当社が提供する総合型DC制度に加入されている企業数は約500社になります。

貴社が提案している総合型DC制度の特徴は?

 まずは、経営者の退職金に関する悩みをしっかりとお聞きしたうえで、コンサルティングをさせていただいています。DC制度は企業が存続する限り続けていく制度なので、じっくり検討していただくことが大事です。DCの相談に来られた企業でも、その企業の退職給付制度に相応しいのはDCではないかもしれません。将来にわたって存続する退職給付制度として、その企業に相応しい制度設計について一緒に考えさせていただいています。

 制度上の特徴としては、従業員数15名以上という少人数の企業から加入できることです。多くの運営管理機関は従業員数で受託基準を決めていますが、15名はかなり低い水準と言えます。また、制度の検討開始から最短で3カ月で制度導入が可能となっています。

 総合型の規約というと、画一的で融通が利かないというイメージがあるかもしれませんが、たとえば、当社を代表する規約である「JIP総合型」には、提携する金融機関の運用商品をラインアップした「●●銀行コース」など、いくつかのコースを用意しています。基本的な商品ラインアップは16本ですが、加入企業からのご要望を汲み上げて運用商品の追加を行っています。また、掛金の設定も、勤続年数別や役職別の定額あるいは、給与の一定割合で設定するなど、個々の企業のニーズに合わせた設定が可能です。

 一方、最近の傾向として、継続教育の一環でライフプランについて相談を受けてほしいというニーズやeラーニングについてのご要望が増えています。継続教育についてはコンテンツの拡充でDC導入企業とご加入者に満足していただけるよう対応しています。

最近、企業からのニーズなどに応えて、サービス内容を充実した内容は?

 一つには、商品提供の充実として2014年10月に加入者利回りを従来商品より高めた「確定拠出年金積立傷害保険(保険期間10年)」を新発売しました。

 保険商品の特長である補償機能(ケガによる死亡時に積立金残高の1.1倍が保険金として支払われる)がありながら、スイッチング時に解約返れい金が払込保険料を下回ることが無いといった点で市場から評価され、数多くの企業に採用いただいている、既存の「確定拠出年金積立傷害保険(保険期間5年)」も引き続き販売します。

 元本確保型の商品として元本保証タイプの「確定拠出年金積立傷害保険」(解約控除なし)と加入者利回りの高い「確定拠出年金積立傷害保険」(解約控除あり)の品揃えを行っている損害保険会社は他になく、企業のニーズに合わせて、どちらか、または、2本一緒にラインアップに加えていただくことができます。

 また、14年11月から「JIP総合型」に新しいコースを導入します。運用商品を大幅に入れ替え、従来の4資産(国内・外/株・債券)に加え、リート(不動産投資信託)や変動バランス・リスクコントロール型の商品を入れました。また、元本確保商品は確定拠出年金積立傷害保険「保険期間10年」と「保険期間5年」2本立てです。さらに、イニシャルコストを3万円に引き下げるなど、コスト体系の見直しを実施し、従来以上に競争力の高いものになっています。

 さらに、DC関連の事務手続きなどについて対応する「401k事務センター」のオペレーター数を増員しています。

今後の制度改正への要望は?

 たとえば、企業の方からのニーズとして比較的強いのは、中退共(中小企業退職金共済制度)からDCへの資産の移換ができるようにしてほしいという要望です。中小企業は複数の退職給付の制度を設けることが難しいので、中退共で積み立てた過去の掛金をDCに移換する形でDC制度を導入したいという企業は少なくありません。

 また、制度改定とはやや異なりますが、DCの一段の利用促進のためには、社会全体で金融リテラシーを高めていく努力が必要だと感じています。DCを導入している企業では投資教育について、意識して取り組んでいるところは少なくないのですが、その教育の成果が、社員に定着しDCの運用に活かされているのかという点では、極めて心もとないところがあります。ここは、今後の少子高齢社会における社会保障を確保するという観点から、社会全体が担っていく責任として国民的な取り組みが必要なのではないかと感じています。

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