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住友生命、年金事業でのノウハウの蓄積がDCサービスでも品質を支える

2014-11-14

住友生命保険相互会社
年金事業部(DC推進担当)上席部長代理 山口光晴氏(写真:右)
法人総合サービス部DCサービス室上席調査役 北島秀敏氏(写真:左)

 住友生命保険は、長年にわたって培ってきた年金ビジネスでのノウハウの蓄積を活かしたDCサービスを提供し、同社がサービスを提供している企業から高い評価を得ている。同社と共同運営管理機関となるJ-PEC(ジャパン・ペンション・ナビゲーター)が、DC運営管理機関としての「お客さま満足度調査」(NPO法人が実施)で2013年総合1位を獲得する他、DC加入者サイト「DCなび」とコールセンターの問い合わせの二つの項目でHDI(ヘルプデクス協会)の格付け調査において最高評価(3つ星)をダブルで獲得している。住友生命保険の年金事業部(DC推進担当)上席部長代理の山口光晴氏(写真:右)と、法人総合サービス部DCサービス室上席調査役の北島秀敏氏(写真:左)に、DC市場を取り巻く環境の変化と、同社サービス内容の概要について聞いた。

DC制度に関する企業ニーズに変化はありますか?

山口:012年3月末に適格退職年金制度が廃止されたことで、過去10年ほど続いてきた「適年廃止への対応としてのDC導入」という需要が一巡し、DCの新規導入機運はいったん落ち着いていました。そこへ、企業年金に関する会計基準の改定が進む一方で、アベノミクスによる株価上昇などの運用環境の好転などもあって、新たにDC制度の導入が始まっています。この1年あまりで、改めて企業年金制度としてのDCへの注目度が高まってきています。

 一方、今春、厚生年金基金制度の改正が行われました。この制度改定を受けて、厚生年金基金を利用している中堅・中小企業の間で、厚生年金基金の解散後の受け皿の一つの選択肢としてDCへの関心が急速に出てきています。

 当社では、DB(確定給付型企業年金)で幹事を務めさせていただいている約1600社の中で、厚生年金基金に入っている約350社の企業に、後継制度の提案を行っています。企業の意向を確認しているところですが、厚生年金基金で積み立てていた分を既存のDBに上乗せする、または、DCを新たに導入するという動きが中心になると考えられます。この厚生年金基金の解散への対応は、期限が決まっていることなので、各企業にとって不都合がないように、幹事の責務として取り組んでいます。

 また、当社がDBの幹事を務めていない企業からの問い合わせや相談も併せて増えていますので、この点でもお問い合わせいただいた企業の期待に応えられるよう、最善の努力をしているところです。

新規にDC制度を検討する企業が増えているということですが、一方で、既存のDC導入企業の変化は? 拠出限度額の段階的な引き上げ、継続教育の義務化、マッチング拠出の導入など、DC制度そのものも改正が重ねられていますが、企業の対応は?

北島:DC制度を導入している企業では、DCでの資産運用に従業員(加入者)の関心が低いという点は、どの会社にも共通してある課題だと感じます。運用商品の預け替え(スイッチング)を行っている加入者比率は数%にとどまっていますし、継続教育セミナーを実施すると、DC専用口座へのログインの仕方(IDの再確認やパスワードの再発行手続きなど)から話を始めるというケースは決して少なくないというのが実態です。

 制度改定についての企業側の対応については、拠出限度額の拡大、また、マッチング拠出の導入については、慎重にタイミングを見計らっているところがあります。マッチング拠出を導入している企業の比率は、当社が運営管理業務を務めている約450社のうち17%程度の企業です。

山口:運用商品のラインナップ拡充の動きは、この1-2年で活発になってきたという印象があります。アベノミクスで株価が上昇したことで、従業員の方々の運用利回りが向上したことなどがきっかけになっているようです。ファンドの追加は、新興国の株式や債券に投資するファンド、更にはREITなどの採用が活発です。また、従業員の方々がなかなかスイッチングをしないという実態をとらえて、ファンドの方で自動的に資産配分を変えてくれるタイプの商品を追加しようと検討なさる企業が増えています。

貴社のDCサービスの特徴は?

北島:ひとつには、運用商品として提供できる商品ラインナップの充実があげられると思います。たとえば、最近になって追加検討が増えているターゲットイヤーファンドについては、「スミセイ・DCターゲットイヤーファンド」シリーズが、ターゲットとする期限が5年きざみでラインナップしています。一般には10年きざみなので、よりきめ細かな世代対応ができると、採用企業からは評価していただいています。

 また、「スミセイ・DCバランスファンド(機動的資産配分型)<愛称:資産配分おまかせくん>」は、国内外の株式と債券への資産配分を、市況の変動に応じて運用会社が機動的に配分率を変更するタイプのファンドです。愛称の“おまかせくん”の通りに、運用をまかせていただくことができます。このような時宜にかなった商品をタイムリーに提供しています。

 一方、元本確保型の生保商品「スミセイDCたのしみ年金」は、債券で運用を行う市場価格調整型の商品ですが、時価が元利合計を下回った場合のみ調整を行う従来の商品と異なり、時価が元利合計を上回った場合にも調整を行います。この点を評価していただき、多くの規約で追加採用が進みました。

 こうした多彩な商品ラインナップを提供するとともに、できるだけ「加入者自ら商品を選択してもらうことを意識した」DC制度運営を提案しています。導入教育の段階で、運用先を自由に選べる制度であることの理解を深めることに注力しています。このことが、結果的にDC制度の活用につながるという考え方からの取り組みです。

 一方、インフラとしての口座管理システムは、関連会社であるJ-PECの専用WEBを使っていますが、このユーザーインターフェース(UI)や、提供機能については当社からの意見も取り入れていただいて、非常に使いやすい内容になっています。外部評価機関による格付けでも最上位の評価をいただいています。

 たとえば、加入者が利用するWEBサイト「DCなび」では、過去の運用データなどの蓄積を進めた結果、2012年の全面リニューアルによって、制度加入時から現在に至るまでの運用成果を、株価指数や為替の変動と比較して一目で振り返ることができるようになりました。

 また、プラン全体の平均と比較して、自身の運用成果を比較することもできます。同僚をはじめとした社内の人たちの運用と比較することによって成績の良い、悪いが分かることは、現状を反省するきっかけになると思います。さらに、自身が選択しているファンドと、類似ファンドや他のファンドとの運用成績の比較についてもグラフで比較表示できるなど、データによる評価・分析が簡単にできるようになっています。

 加えて、あえて紙を使った情報提供として「DCだより」を定期的に発行して、PCで提供しているコンテンツのサマリーやポイント解説を行っています。この「DCだより」は、「DCなび」の利用を促すための仕組みのひとつです。「DCなび」は、DC関連の情報が集約され、このサイトを使うことによってスイッチングなどの運用変更も行えるため、「DCなび」の利用が進むことこそが、今後のDC制度の有効活用のポイントになると考えています。

投資教育などで貴社ならではの取り組みは?

北島:導入時教育、また、継続教育について専任の講師を社内に組織している点は、ひとつの特徴といえます。教育セミナーについては、実際の運営にあたって、途中で内容の変更が必要な場合があります。その際に、外部に講師を委託していると調整が難しくなりますが、内部の講師であるため柔軟に対応することが可能です。また、社内のライフプランのコンサルティング・チームとの連携したセミナーの開催など、社内のノウハウを十分に活用したセミナーを開催することが可能です。

 やはり、生命保険会社としての強みは、長期の資産運用についてのノウハウに蓄積があること、さらに、終身年金での支払いなど、資産の積立・運用から年金受取まで、トータルでサポートできることだと思います。その強みを、投資教育などの場面でも活かしたサービス提供を行っています。

今後の制度改定などへの要望は?

北島:制度改正は、関係機関または企業側が対応するために、新たなコスト負担につながる要素もあるため、慎重に検討が進むことが望ましいと思います。現在、改正議論が進んでいるところなので、その行方を見守りたいと思っています。

 DCへの興味喚起という面では、マッチング拠出の限度額について、企業の拠出限度額を上限としている制限が撤廃されれば効果は大きいと思います。企業の拠出額に関わらず、トータルの拠出限度額まではマッチング拠出できるようにすると、マッチング拠出の枠が実質的に広がり、マッチング拠出を通じたDCへの興味喚起ができると思います。

 また、DC積立金の資産全体にかかってくる特別法人税の廃止も検討してほしいと思います。現在は特例によって特別法人税は免除され、3年ごとに免除期間が延長されてきていますが、将来わたって税金がかからないという制度にしておくことが望ましいと思います。

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