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第12回企業年金部会、継続投資教育の義務は「配慮」から「努力」に格上げへ

2014-11-18

第12回社会保障審議会企業年金部会が2014年11月18日、東京・永田町で開催された。今回のテーマは、「確定拠出年金における運用について」。継続投資教育のあり方、DCの運用商品除外に係る規定について主に議論がなされた。事務方である厚生労働省からは、「DCにおける継続投資教育について、現状の“配慮義務”から、“努力義務”に位置づけを重くする」、「運用商品の数を10本、または、18本など制限を設けることを検討したい」などと論点が示された。

事務局からは、投資教育について「半数以上の企業で(継続投資教育の)実施基準の必要性を感じている」という現状認識が示され、「DCの運用商品の構成は、約6割が元本確保型商品に集中し、運用利回りが0%-1%の者が44.6%を占めている。今後、消費者物価上昇率が上昇していく見通しが示されており、少なくとも将来の実質的価値の減少を防止し、老後の備えを確保するためには、より適切な運用商品の選択を促し、運用収益を確保していく必要がある」という問題意識が示された。

現在、年金局長通知という形で示されている「確定拠出年金について投資教育の具体的内容」は、

  • (1)DC制度の具体的な内容(我が国の年金制度の概要、改正等の動向及びDCの位置づけ、DC制度の概要)
  • (2)金融商品の仕組みと特徴
  • (3)資産運用の基礎知識
  • (4)DC制度を含めた老後の生活設計

 

という内容。これに対して、委員からは「局長通知で示されている内容は、(4)が一番大事なこと。(1)の年金制度概要から説明を始めるから、多くの人の興味が減退する。まず、自分の老後の生活設計をどうするかを考え、その資金手当ての手段としてDCの活用を考えるというように、もっと自分事としてDCについて考える教育プログラムとして考えた方が良い」、「継続投資教育となると各社がバラバラなので、実施基準を示した方が良い」、「中小企業の投資教育は負担を減らすために共通のプラットフォームを作るなどの工夫が必要」などの意見が出た。

そして、事務局から、継続投資教育を実施している企業は全体の約7割程度(導入時投資教育は100%実施)だが、継続教育を実施している企業では、DC制度や資産運用に関する理解が深まっているという実績が確認できるとし、「現在のDC法上、事業主の『配慮義務』とされている継続投資教育について、導入時投資教育と同様に『努力義務』としてはどうか」という提案がなされ、委員のおおむねの同意を得ていた。また、「事業主が継続投資教育を実施しやすいように継続投資教育の基準を通知等で明確化することを検討してはどうか」という提案にも、反対はなかった。厚労省では、好事例の周知など、継続投資教育の基準の通知の在り方について検討を進めるとしている。

一方、運用商品の提供数については、事務局から「2007年に平均15.14本、2010年は16.0本、2013年は17.4本と、制度導入から時間が経過するほどに、運用商品が追加されている。行動経済学の知見によれば、消費者の金融商品購入にあたって選択肢が多すぎると選択自体が困難になることがわかっている」と問題提起があった。そして、「諸外国ではDCで、加入者の運用商品の選択をサポートする手法として、商品提供数の制限等の対策が講じられてきた」と、イギリスの「NEST(確定拠出型の私的年金)」は6本、チリの「AFP(確定拠出型の公的年金)」は5本、エストニアの制度では3本などと、少ない商品数で制度が運営されている事例が示された。

この件に関して、委員からは、「運用商品の提供本数が多いところは、投資教育にも熱心に取り組んでいるところが多い。運営する企業に任せるべきでは」、「プランの大きさ、加入者の多様なニーズを考えると10本では少ない」など、法的に制限することに慎重な意見がでた。一方、「投資教育の負担を減らすという議論と合わせて考えると、提供本数を削減することも選択肢のひとつ」などと肯定的な意見もあった。

また、運用商品の除外規定で「商品の除外は、除外対象商品を保有する加入者や運用指図者全員の同意が必要」と、現行法では実質的に除外が不可能な状態にあることについて、委員は一致して是正を求めた。

次回の議論は、引き続き「確定拠出年金における運用について」の議論を続ける予定。次回のテーマは、「長期の年金運用として適切な運用方法の促進について」をテーマに、デフォルト商品の考え方などについて議論する。

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