DCニュース

 

明治安田生命、投資教育を切り口にDCでも年金専門家の存在感を発揮

2014-11-20

明治安田生命保険相互会社
法人営業企画部DC業務グループ グループマネジャー 本松茂隆氏(写真:左)
同グループ主席スタッフ 西川直樹氏(写真:右)

 明治安田生命保険は、確定拠出年金(DC)制度の普及・発展のカギを握る取り組みととらえる「継続教育(投資教育)」の拡充に積極的に取り組んでいる。今年度から導入した「セミオーダー型の投資教育セミナー」は、各企業の実情に合わせて1回あたりのセミナーでの講義内容をきめ細かくカスタマイズできるプログラム。セミナー内容を小分けして、テーマ別に一覧で表示することで、新たなセミナーニーズの掘り起こしにも役立っているという。明治安田生命保険の法人営業企画部DC業務グループのグループマネジャー本松茂隆氏(写真:左)と、同グループ主席スタッフの西川直樹氏(写真:右)に、DCサービスに関する企業ニーズの変化や、同社のDCサービスの特徴等について聞いた。

DC導入についての企業ニーズに変化は?

本松:2012年3月末に適格退職年金制度が廃止され、その適年からの移行を理由に進んでいたDC導入の動きは一巡しました。その後、前払い退職金制度との選択制でDCを導入する動きや確定給付企業年金(DB)の一部をDCに移行する動きが続きましたが、2012年3月末までの動きと比較すると、導入件数のボリュームはやや落ち着いた傾向が続いていました。

 今年度に入ってからは、厚生年金基金の解散を視野に、厚生年金基金の受け皿としてDC導入を検討したいというニーズが強まっているように思います。個々の厚生年金基金の解散認可のスケジュールを横目に、今後は継続的に導入件数が伸びてくるのではないかと思います。

 この厚生年金基金の解散に伴う企業年金制度の見直しについては、各企業の状況に応じて、DC、DB、その他の生命保険商品など、様々な対応の方法があります。企業の負担と従業員の満足度の両面から、バランスの良いご提案ができるように検討を進めています。

 一方で、厚生年金基金とDCの2本立てで退職給付制度を設けていた企業の中には、厚生年金基金の解散によって、退職給付制度がDCのみになるところもあります。その場合は、現在の拠出限度額2万7500円が倍増(5.5万円)することになりますが、この場合の増加分の拠出金原資を、厚生年金基金の後継部分の設計とあわせてどのように考えていくのかなど、企業のニーズをお聞きしながら最適なご提案ができるようにしています。

西川:拠出限度額が拡大すると、マッチング拠出についての企業の対応も変わってくるのではないかと思います。拠出限度額の関係で加入者が拠出できる掛金が少額となるため加入者にとってのメリットが少ないなどの理由から、当社の場合は解禁直後にマッチング拠出を導入した企業は全体の10%程度にとどまっていました。

 企業としては、マッチング拠出によって拠出・運用時に非課税の積立ができることは、従業員の資産形成に大いに有利な制度であるという認識が強いものの、拠出限度額との関係で制度導入を見送ってきたところも少なくありません。それが厚生年金基金の解散によって拠出できる掛金が増えることになれば、改めて制度のあり方を再検討する動きにもつながります。

 また、マッチング拠出制度の導入と合わせて、継続教育をセットで実施される企業が多くあります。制度の導入時に研修を実施して以来、数年を経過しても、継続教育を実施されていなかった企業も少なくなかったのですが、マッチング拠出が解禁されたことを受けて、継続教育に前向きに取り組んでいこうという機運が生まれています。

マッチング拠出の導入と継続教育がセットで実施されているのは、制度の変更が、企業の動きを刺激し、DC制度の普及を後押ししていることがわかるお話しです。一方で、運用商品の追加については、いかがですか?

本松:運用商品については、DC制度がスタートした当初は、国内外の株式や債券といった伝統的な4資産の投資信託に、元本確保型商品を組み合わせるという品揃えが中心でした。その後、徐々に新興国の株式や債券、REIT(不動産投資信託)やコモディティなどのファンド追加ニーズが広がってきているという状況です。

 ただ、この運用商品の拡充の動きについては、企業からのニーズによって広がるというよりも、運用会社などからの商品提案の結果として、新規の採用商品が広がっている面もあるのかなと感じています。私どもから毎年、各企業に対して加入者の投資傾向等を集計・分析した「プランモニタリングレポート」を提供し、必要に応じて企業訪問を実施していますが、その際に、「このような商品を追加してはどうかという話をもらっているのだが、どう思う?」というような相談を受けることが少なくありません。

 もちろん、個々の企業の中には、DC制度を通じて積極的に資産運用に取り組まれている加入者の方々もいらっしゃって、運用に熱心な加入者の強い声として、運用商品の幅を広げてほしいという要望が上がってきた結果、商品を拡充するという事例もあります。

貴社が提供しているDCサービスの特徴は?

西川:生命保険会社にとって「年金」は本業で、年金の制度設計をはじめ専門性が発揮できる事業分野です。DCにおいても、「年金の専門家」としてのサービスをご提供できるよう心がけています。運営管理機関としては、事業主への退職金・年金制度全体のコンサルティングや法令改正対応や継続教育提案といったDC制度運営サポート、多様な継続教育プログラム等のサービスを提供しています。また終身年金での受け取りも選択できる「明治安田利率保証年金」等、生命保険会社としての特徴を生かしたDC向け運用商品もご提供しております。

 コンサルティング局面においては、DCありきではなく、DBや生命保険商品なども含めて、各企業の実情に合わせた最適な組み合わせをご提案しています。これはDBもDCも受託している当社の強みです。また、記録関連業務のシステム管理会社についてはNRK社、JIS&T社のどちらにも接続することが可能です。

 特に、DCについては、加入者向けの投資教育に力を入れ、事業所ごとの集合研修にきめ細かく対応するとともに、集合研修をフォローしたり、また、集合開催が困難な場合の代替手段としてDVDやeラーニングをご提供しています。

 また、DC運営上の事業主の課題の一つである「中途退職者に対する自動移換抑制策」についても積極的に取り組んでいます。DC制度の特徴であるポータビリティ(可搬性)ですが、転職先にDC制度がない場合、6ヵ月以内に個人型DCへ年金資産の移換手続きを行わないと、自動的に国民年金基金連合会に年金資産が自動移換され、運用指図ができない状態になってしまいます。

 この場合でも管理手数料はかかりますので、このような自動移換が極力起きないようにサポートしています。たとえば、事業主に法令上義務付けられている「中途退職者向けの資産移換手続きの説明」に関するサポートツールとして「資産移換ガイド」をご提供しており、資産移換に関する説明を受けたことを証明する「意向書」のひな形もご提供しています。

 また、記録関連業務のシステム管理会社とは別に、当社から独自に「未移換者向けお知らせハガキ」を未移換者に対して送付しており、さらに、当該ハガキが到着した頃にフォローコールを実施しています。また、今後の未移換者抑制にむけた運営の参考としていただけるよう、最終的な移換状況を事業主あてにお知らせしています。

 こうした未移換者抑制に向けたフォローは、制度運営の一端に過ぎませんが、ご説明したように決しておろそかにすることはありません。この事例からも、制度運営について責任を持って取り組んでいることをご理解いただけると思います。

近年、特に拡充したサービスは?

本松:今年度からセミオーダー型投資教育セミナーのご提供を開始しています。各種の知識、運用ノウハウ等、継続教育に必要な要素を5分から15分のパーツとして用意し、企業の希望に応じて、いくつかのパーツを組み合わせることで、全体でおよそ90分間のセミナーが構成できるようにしています。

 たとえば、「加入者用Webや資産残高レポートの見方」といった操作性・仕様に関するテーマや、資産運用に関する基礎知識の習得等、その時々の制度の状況、市況変化などに応じて、自由な組み合わせでセミナーの内容を組み立てることができます。

 継続教育については、毎年実施されている企業、導入研修以降は1度も実施していない企業など、取り組み状況は企業ごとに異なりますが、セミオーダー型のセミナーのメニューは、各社の状況にかかわらず最適な対応が可能なので、企業との対話がスムーズに進んでいます。

 今後のDC制度の発展のためには、継続教育の拡充は大きなテーマであり、また、運営管理機関の使命でもあると思っていますので、今後ともセミナーメニューの拡充には積極的に取り組んでいきたいと考えています。

今後の制度改正への要望は?

西川:DC制度の普及を一段と拡大するという目的だけを考えれば、中途引き出し要件について、もう少し柔軟な制度になればよいと感じます。私たちがDCの導入について話を進める中でも、DCへの拠出額を原則60歳までは支払うことができないことを理由にDC導入を断念した企業も少なくありません。

 ただ、DC制度の本来の目的は公的年金を補完する年金制度ということですから、拠出限度額要件などの観点も含めて、企業年金制度全体の中でバランスのある議論が必要だと思います。

本松:さらに長期的な視点で考えると、国民全体の金融リテラシーの向上がDC制度普及に欠かせない要素になってくるのではないかと思います。現在、金融庁では「金融経済教育推進会議」が中心になって金融経済教育の進め方について検討し、具体的な取り組みが進められています。これらの動きが定着し、土台となるように継続的な努力が重ねられることも重要だと思います。

バックナンバー

2014 | 2015 | 2016 | 2017