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JIS&T、事業主の声を直接聞くレコードキーパーとしてサービス改善を推進

2014-11-28

日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー株式会社(略称JIS&T)
常務取締役 佐藤夏樹氏

 日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー(JIS&T)は、わが国の確定拠出年金(DC)制度の根幹を支える2大レコードキーパー(記録関連運営管理機関)の一角。2014年3月末現在でDC制度加入者232万人の情報を記録し、管理する一方、日常の事務や年金受給の裁定請求などの手続きについてプラン導入企業を直接サポートする体制を構築。事業主・加入者と直接やり取りする業務フローを最大限に活用し、サービスの改善を迅速に進めている。JIS&T常務取締役の佐藤夏樹氏に、データから見えてくるDC制度変遷のポイントと、同社サービスの特徴等について聞いた。

レコードキーパーとして、DC関連のデータを記録されてきている関係から、DC市場の変遷をどのように見ていますか?

 弊社は、レコードキーパーとしてDC法で規定されている「個人別管理資産額等の記録、保存及び通知」「運用指図のとりまとめ及び資産管理機関への通知」「給付を受ける権利の裁定」の3つの業務を行っています。弊社が記録管理を担っています企業型規約数は2014年3月末現在で1,613規約、企業型加入者数(運用指図者を含む)は215万人、個人型加入者数は17万人と、日本のDC制度全体のほぼ半数にのぼっているものと思われます。

 加入者からの運用指図や各種照会は、WEBとコールセンターで受け付けています。現在は各種の照会などもWEBを使って行われることがほとんどですので、加入者の動向はWEBアクセス件数に表れています。

 そこからは、2012年12月以降に、WEBを通じたDC口座へのアクセス件数が増え始め、2013年5月にアクセス件数が直近のピーク(約260万件/月)を記録していることが確認できます。2013年6月以降は、やや落ち着いていますが、2012年と2014年を比較すると、アクセス件数は概ね70万件/月が130万件/月と約2倍に拡大しています。

 この利用件数の推移に、日経平均株価の推移を重ねてみると、その相関関係の強さが分かります。日経平均株価が8,000円台(2012年10月)から1万3,000円台(2013年3月)に上昇していく過程で、WEBアクセス件数は次第に拡大し、株価が横ばいになるなど変化が乏しくなると、アクセス件数は落ち着いたものになります。

 2014年になって、WEBアクセス件数が恒常的に月間100万件を超えるようになっておりますが、スイッチングや配分指定変更など、運用指図の件数も、2014年には月間で7万件から13万件程度になっております。2012年当時は月間で5万件に届かない月が少なくなかったような状況とは様子が変わってきていますが、特に直近では、10月末の日銀の追加緩和の直後に、日次ベースでもスイッチング件数が著増しており、着実に投資運用状況に加入者の皆様が敏感になってきておられることの表れだと感じています。

DC制度では、その多くが預貯金等の元本確保型商品で運用されているといわれますが、運用商品の構成比率に目立った変化はありますか?

 運用商品の構成比を時価ベースでみていくと、緩やかに有価証券(主に投資信託)や信託商品(金銭信託等)での運用が増えていることが確認できます。たとえば、2011年3月末では、元本確保型商品(預貯金、生命保険等、損害保険)の比率が60.6%でしたが、2014年3月末には55.7%に低下しています。半面、有価証券の構成比率は、この間に36.6%から41%に向上しました。

 また、プランごとの平均商品採用本数は、2004年3月末時点では9.91本だったのですが、徐々に拡大し、07年3月末に13.27本、14年3月末には16.32本になっています。

2012年1月に始まったマッチング拠出について加入者の反応はいかがですか?

 マッチング拠出については、2014年8月拠出時で449規約、1,039企業が実施しています。この実施企業の加入者数は合計で64万人なのですが、うち実際にマッチング拠出を行っている加入者は12.7万人。実施人数の割合は20%程度というのが実態です。ただ、この実施人数割合は2013年11月拠出時に13.5%でしたので、徐々に浸透しているという状況です。

 マッチング拠出を実行している加入者の1カ月当たりのマッチング拠出額の平均は、2014年3月末現在でプラン限度額が2万5,500円の制度に実施している加入者で約6,300円、同5万1,000円の制度の加入者は約7,500円です。

DCから年金を受給する方も増えてきていると思いますが、その状況は?

 老齢給付金の受給は2002年度から始まっています。当初は、個人型と合わせて年間に5億4,000万円が支払われました。その後、徐々に受給総額は拡大し、2012年度で年間1,000億円の大台に乗せました。受給方法としては、一時金としての受取が圧倒的で、金額比で約95%が一時金として支払われています。

レコードキーパーとして、JIS&Tの特徴は?

 上記の法定3業務に関しては、加入者、事業主、運用関連運営管理機関等、弊社サービスをご利用いただいている皆様の信頼に応え、利便性が高く、良質なサービスの提供に努めています。特に、昨今のインターネットの普及に伴うセキュリティ事故や犯罪の深刻化に伴い、情報セキュリティ対策には万全の対応を行っています。

 このようなレコードキーパーとしての責務を全うすることは、当たり前のことといえますが、これらの業務を円滑に、かつ、高い品質で推し進めるという意味合いも込めて、DCに関する各種事務手続きのサポートを、事業主向けにダイレクトに応対させていただいています。弊社では6,700社以上の事業主の皆様との応対における豊富なノウハウを持つ社員が対応することにより、迅速、かつ、確実な手続きが実現できており、この点は、他社にはない強みといえます。

 個別の取組みとしては、従来から各種DC関連事務手続きに関する「事業主事務研修会」を開催し、実務内容に関する理解を深めていただいておりましたが、加えて2012年2月からは新たに「給付セミナー」も開催し、事業主の担当の方が給付に関する説明を社内で行う際の情報及びノウハウを提供しております。

 また、このようにして直接、事業主の担当の方の声を聞かせていただく機会がありますので、システムの利便性向上のためのご要望やご意見などもうかがって、必要なシステム改良も迅速に行ってきています。

 例えば、マッチング拠出導入企業の増加を踏まえて、加入者が加入者掛金額を事業主へ通知する際のサポートサービスを来年から開始いたします。このサポートサービスは、加入者が加入者掛金額を弊社インターネットサービスへ入力し、その加入者掛金額を事業主へデータ還元するものです。これにより、事業主の事務負荷の軽減に寄与できればと考えております。

 また、加入者の皆様に対しては、昨今の年金給付請求の増大に対応し、給付にかかわる専用コールセンターを設け、さらに、今年8月にご提出書類とその書き方等についてわかりやすく解説した「給付請求お手続きナビ」というWebサイトを新設する等、次々ときめ細やかなサービスを提供しております。これらのサービス追加にあたっても、利用者の方々から直接いただいている声を活かしました。

 日常的に弊社をご利用いただいている方からの声を聞き、その声に応える改良を不断に進めることによって、満足度の高いサービスを提供できるようになると思います。これからも、皆様の声を聞かせていただき、サービスの改善に努めていきたいと思っています。

現在、DC制度について制度改定の議論が活発ですが、優先的に取り組んでほしい改正ポイントは?

 企業年金部会で公表された税制関連項目の中では、需要の裾野が桁違いに大きくなるという観点から、個人型の加入可能範囲の拡大が特に注目されます。今後、運用関連運営関連機関における個人型営業の積極展開が予想されますが、弊社としてはそのような運営管理機関からの要請に対して、自社のサービス及びリソースを最大限活用した有効なサポートを行うことにより、加入者数の増加というプラスの効果を期待したいと思います。

 また、脱退一時金の要件緩和について、コールセンターなどを通じて私どもにも加入者の方から、退職時に引き出せるようにして欲しいという声が届いています。何らかの方策があるべきだと思います。そして、拠出限度額について、月単位から年単位への変更が検討されておりますが、実務を考えると「拠出限度額」や「1年間の考え方」が規約により異なる場合、移換時に移換先で限度額超過となる事態も想定されます。多様なライフコースへの対応という観点からも、ポータビリティが損なわれることのないよう詳細スキームの整理が必要と思われます。

 さらに、積み立てられた年金資産にかかる特別法人税について、現在は時限措置として2017年3月まで課税凍結の扱いとされておりますが、一段と制度利用の促進を図る意味では特別法人税の廃止が望ましいと思います。

 これからの年金制度として、ますます重要な制度になっていくと思われるDC制度の一段の発展のためには、レコードキーパーとして期待される役割を全うするとともに、加入者や事業主の皆様からの問い合わせについて、より分かりやすい説明でお応えするなど、できることに精一杯努めていくことが肝要と思います。これからも、正確で迅速という、レコードキーパーに求められる価値を追求し、関係各位からの信頼に応えてまいります。

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