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若年層向けの分かりやすい年金講座、厚労省が大妻女子大や都立蒲田高でモデル授業

2015-01-19

 厚生労働省は公的年金制度への理解向上を図るため、2015年1月16日に、大妻女子大学で「若年層に向けた年金のモデル授業『なーんだ、年金ってこういうことだったのか!』」を開催した。東進ハイスクールの政治・経済の人気講師である清水雅博氏を講師に迎え、国民年金の制度と役割を分かりやすく解説した。1月14日には東京都立蒲田高等学校で、同校の公民科教諭である浅川貴広氏の授業も実施しており、厚労省年金局では「今後、厚労省や日本年金機構の担当職員によるモデル授業も実施し、聴講者から集めるアンケート結果を分析して授業内容をブラッシュアップした上で、新年度からは全国で若年層向けの年金講座を展開していきたい」と計画している。

 厚生労働省は2014年8月から12月まで「公的年金の分かりやすい情報発信モデル事業検討会」を開催し、国民年金業務の適正かつ円滑な業務運営の推進及び被保険者や受給者等の国民年金制度に関する理解促進を図るため、「市町村向け情報発信モデル事業」と「若年層向け情報発信モデル事業」について検討を重ねてきた。今回の“モデル授業”は、分かりやすい情報発信モデル事業で検討してきた成果として作成したテキストや動画コンテンツを使って、実際の授業の現場で活用する初めてのケースになる。

 1月16日に大妻女子大学で短期大学部家政科生活総合ビジネス専攻の学生を対象に、授業を行った清水雅博氏は、「公的年金については、多くの人が漠然とした不安を感じていると思うのだが、その不安の原因は正確な情報が十分に伝わっていないことにあると思う。今回の講師を引き受けるにあたって、厚労省に対して自分の疑問を率直にぶつけて納得のいく回答を得た。そこで、年金に対する一般の誤解を解きたい、間違った思い込みを改善したいという思いで、授業に臨んだ」という。

 授業では、「年金は生活保護など全額公費負担とは異なり、保険料を払うことによって恩恵が受けられる拠出制の助け合いシステム」、「すべての国民が加入する基礎年金は、現在の法律では加入期間25年間に1カ月でも足りないと、年金を受けることができない。受け取る年金の半分は、消費税など税金が充てられるので、基礎年金を受け取ることができない人は、たとえ保険料を払っていなかったにしても、消費税などで収めた税金分を損することになる」、「年金と聞くと、老後に受け取るものと決めつけて考えてしまいがちだが、実は、事故などで障がい者になって働けなくなった場合の障害年金、また、一家の働き手が亡くなった場合に家族が受け取る遺族年金など、今のまさかのリスクに備える役割もある」など、分かりやすい例えや話し方で、主として基礎年金の仕組みを解説していった。

 授業を受けた学生(19歳)は、「年金のことは、老齢年金だけだと思っていた。他の機能もあることを初めて知って、必要なものなんだと思った。自分がどんな職業に就くのかもわからないので、将来に不安はあるけれど、その不安を減らすためにも国民年金は大切なものだと思った」と語っていた。そして、20歳になったら国民年金の加入手続きや、学生の期間の保険料納付が猶予される「学生納付特例制度」など、「きちんきちんと申請手続きをしていくことが大事だということがわかった」と、制度に関する理解が深まったようだった。

 厚労省では、今回の取り組みにおいて民間からアイデアを募ることで、「聴講者がライフプランシミュレーションを自ら記入する」、「老後の生活資金を自らイメージする」など一方的な説明するような従来のセミナー運営とは異なる情報提供が実施できるようになったこと、グラフィックを工夫してより分かりやすい資料を提供できるようになったことなど、より分かりやすい情報発信が可能になったとしている。「今後は、たとえば学校で実施する場合は、それぞれの関心に合わせた内容にカスタマイズするなどの工夫をして納得感の高い情報発信を続けていきたい」と語っている。

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