DCニュース

 

モーニングスター、「確定拠出年金における最適な資産運用法」でDC加入者セミナー開催

2015-02-05

モーニングスター株式会社
代表取締役社長
朝倉智也

 モーニングスター代表取締役社長の朝倉智也が2015年2月3日、アサツーディ・ケイの確定拠出年金(DC)加入者向けのセミナーで、「確定拠出年金における最適な資産運用法とは?」というテーマで講演を行った。「デフレの時代は、資産運用は不要だったともいえるが、日銀がインフレターゲット2%をめざして異次元の金融緩和を行うなど、時代が大きく変わっていく現在、DC制度の特徴を十分に活かした資産運用に意識的に取り組んでいきたい」というメッセージを発信し、聴講した加入者からは、「頭の中のモヤモヤがすっと解けたようだ」と好評だった。

今なぜ資産運用が必要か

 講演は4つのテーマで進んだ。「今なぜ資産運用が必要か」というパートでは、日本の国家予算の歳出に占める社会保障関係費が約54%に達し、一方で、歳入は約43%を国債の発行等の将来世代の負担で賄われている実態から話を起こし、「日本の債務残高はGDP比231.9%と先進国の中でも飛びぬけて高い水準にあり、できるだけ早く、国債の発行によって国の運営を続けるような状況から脱却したい。歳出の大部分を占める年金や医療費等の社会保障関係費の削減は避けられず、かつ、8%になった消費税の増税は2017年4月に予定される10%から、さらに増税される見通し」という見方を示した。

 一方で、日米欧の10年国債利回りは歴史的な低水準にあり、日本では年0.3%を下回るほどに低下。「金利収入だけでは、物価上昇率をカバーできず、実質的にお金の価値が目減りする時代になっている。20代~50代の勤労世代は株式での運用を取り入れ、将来の生活に備えた金融資産(ファイナンシャルアセット)の積み上げを意識的に行っていく必要がある。特に20代~30代という若い世代は、働くことによって給与を得るという人的資本(ピューマンキャピタル)の価値が大きいため、金融資産の積み立てをおろそかにしがち。若いからこそ長期の運用期間を確保することができ、将来の金融資産をより大きくすることもできる」と、若い世代から資産運用を始めることで資産運用の効果が高まると語った。

確定拠出年金の現状

 続いて、現在、社会保障審議会の企業年金部会の議論で使われている資料等を紹介しながら「確定拠出年金の現状」について解説。「確定拠出年金で自分の資産の状況が『分からない』という人が、加入者全体の約4割を占めているのが現状。したがって、先行する米国の401(k)と日本の運用ポートフォリオの内容を比較すると、米国では元本確保型商品には9.6%しか運用されておらず、ほとんどがファンドで運用されているが、日本では約6割が元本確保型で運用されている。元本確保型の運用利回りは、現在年0%台。実際に、DCの運用利回りは1%以下が44.6%を占め、半数以上が2%以下という状況。資産形成を考えると、さまざまなメリットがあるDCが日本では十分に活用されていないということがわかる」と指摘した。

 そして、昨年秋に公的年金資金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の基本ポートフォリオが大幅に変更され、変更前に国内債券で60%前後を運用するとしていたものが、国内株式25%、外国株式25%、外国債券15%と変更された。「公的年金を運用するGPIFも、現在の国内債券の運用利回りでは将来の年金給付が難しいと感じ、株式や外国証券での運用に大きく舵を切った。公的年金の方針変更は、現在の資産運用環境を象徴している。DCについても、リスクオンを考えたい」と呼びかけた。

適切な資産運用の考え方(中長期でゆっくり資産を増やしたい)

 具体的な運用方法について「適切な資産運用の考え方」として、「短期間で儲けたい」投資と「中長期でゆっくり資産を増やしたい」投資の違いを解 説。特に重要なポイントとして、「今ある資産、そして、これから積み立てるお金を、いつまでにいくらにしたいかということが重要。まず、運用の時間軸を考 え、目標達成に必要な年間運用利回りを設定することが大切」と強調した。具体的な目標運用利回りを計算するために、モーニングスターがホームページに無料 で公開している「金融電卓」の利用を紹介した。

 「金融電卓」を使うと、たとえば、「現在の積立資産300万円と、毎月1万円を25年間運用して3,000万円とするには、年間で約 8%の運用利回りが必要」など、退職時に必要と考える目標を達成するために必要な運用利回りが簡単に算出できる。目標金額を達成するための運用利回りが実 現不可能と思えるほど高い場合は、毎月の積立額を増額する(マッチング拠出や一般口座の利用等)などで調整をする。

 そして、DC口座によって、毎月定額で積み立て投資していくことのメリットを説明した。「中長期でゆっくり資産を増やす投資は、投資対 象資産が値下がりするほど、投資口数が大きく増えるというやり方。価格が下がれば嬉しいといえる投資法。投資期間の間に値下がりし続けたままになってしま うとマイナス・リターンだが、10年以上の運用期間を設定すると、行き過ぎた価格下落が修正されて高くなる場面が出てくるもの。少しでも価格が上昇する と、積立投資で買い続けてきた効果が発揮され、一気に収益がプラスに転じる」と積立投資の効果について説明した。

確定拠出年金で最適なポートフォリオを作る

 最後に、アサツーディ・ケイのDCファンドラインアップを使って、「確定拠出年金で最適なポートフォリオを作る」方法について解説した。ファンド 選びのポイントとして挙げたのは3点。(1)コスト<信託報酬>、(2)過去の運用実績、(3)ポートフォリオの中味。

 実際に、各ファンドを「国内株式型」、「外国株式型」などとカテゴリー分けし、それぞれのファンドの「コスト」と「運用実績(トータル リターンとシャープレシオ)」と比較すると、一目で選択すべきファンドが分かる。「コスト」面では、インデックス型のファンドが有利だが、トータル・リ ターンやシャープレシオでも、インデックス型が優位な成績を上げているケースが少なくない。「特にコストについては、将来にわたって変わらないものなの で、できるだけ安いものを選ぶようにしたい。毎年1%のコスト差があると、10年、20年という長期の運用では、無視できないほどのパフォーマンス格差に つながる」と解説。「トータル・リターン」ではできるだけ長期の成績が良いものを選択、また、「シャープレシオ」が高い方が、成績優秀なファンドである と、指標の見方も説明した。

 そして、年代別のモデルポートフォリオについて紹介した。「一般論としてのモデルポートフォリオとして参考にしてほしい。若い世代ほ ど、株式の組み入れ比率を高くして、高いリターンを狙うことがきる。先ほど説明した目標利回りによって、それぞれの個人に相応しいポートフォリオの組み方 は変わってくる。まずは、自分が投資している投資商品のコストや運用成績を確認し、同じカテゴリーに投資するのであれば、より低コストで高い実績を残して いるファンドに見直してみてはどうでしょう」と、改めて加入者自身の運用状況について、その内容を見直してみることをすすめた。

 

バックナンバー

2014 | 2015 | 2016 | 2017