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確定拠出年金法の改正によって大きな転機を迎える個人型DC、東京海上日動に個人型DCの展望を聞く

2015-03-26

東京海上日動火災保険株式会社
401k事業推進部
営推企画グループ主事
大島真里氏

 確定拠出年金(DC)法の改正によって、個人型DCが大きく拡大する期待が高まっている。個人事業主(1号被保険者)と企業年金がない企業の2号被保険者に限られていた加入対象者が、第3号被保険者や公務員等共済加入者、そして、企業年金や企業型DC加入者にまで広がる見通しだ。いわば、20歳以上は全てが個人型DCの加入対象者になる。さらに、従業員100名以下の小規模企業で企業年金の実施が困難な場合は、従業員の個人型DCに事業主による追加拠出(マッチング拠出)が可能になる。大きな転機を迎えようとしている個人型DCは今後、どのような市場になっていくのか。個人型DCにおいて制度発足以来、東京海上日動火災保険は積極的なサービス提供を実施してきた。同社401k事業推進部 営推企画グループ主事の大島真里氏に聞いた。

個人型DC制度は、制度開始から10年以上を経過しましたが、依然として加入者は20万人程度にとどまっています。昨年スタートした少額投資非課 税制度(NISA)が1年間で824万口座になったことなどと比較すると、個人型DCの普及が進まなかったのは、どのような要因があるのでしょう?

 個人型DC制度は2002年1月にスタートしているのですが、これまで普及が進まなかったのは、大きく3つの要因があると考えています。

 1つ目は制度の知名度が低いということです。NISAとの比較をされましたが、NISA口座の獲得には多くの金融機関が広告宣伝を行 い、様々な特典を用意して口座開設を働き掛けるという動きがありました。個人型DCについては、国の制度ですが積極的な広報活動等がされず、多くの方々が 制度そのものについて知らないため、普及のネックになっていると思います。

 当社で個人型DCをお勧めした際、10人に4人は加入を決められるという実績もあります。制度についての認知が進めば、より多くの方 が、個人型DCに加入なさると思います。たとえば、個人型DCの非課税メリットは、掛金が所得控除されて税金の還付が受けられます。積み立てた資金は、老 後のために着実に増えていき、さらに税金が戻ってくるというところに魅力を感じる方は少なくありません。

 2つ目は、現在の個人型DCは加入対象者が分かりにくい点です。加入対象者が限定的であるため、せっかく加入を検討し始めた人も、結果 的に加入資格がないことが判明する、また、拠出限度額が期待よりも少ないなどの理由で、加入を見送るということもあります。ですから、現在検討されている 制度改正で、20歳以上のほぼすべての方が個人型DCに加入可能となる波及効果は大きいと思っています。

  最後に3点目として運営管理機関の立場に立つと、個人型DCは加入までに説明する内容が多く、また営業職員が説明できる内容に制限があるため、一般の金融商品と比較すると、取り扱う側のハードルが高くなります。

御社の個人型DCについての取り組みは?

 当社は2002年1月のスタート以来、保険代理店を通じて個人型DCを積極的に取り扱ってきました。保険商品以外で、お客さまとの接点を広げたいという思いからです。

 また、金融機関との提携を通じて、銀行や信用金庫等が制度加入に関する事務手続き等を受託いただき、ご加入者や各金融機関を通じて寄せられる個人型DCに関する問い合わせ対応を当社が行っています。現在、提携金融機関は個人型DCで92機関になっています。

NISAが始まり、かつ、今年になってから個人型DCの加入対象者が拡大することが新聞記事等のメディアで取り上げられる機会も増えています。個人型DCについて、問い合わせ等は増えていますか?

 現在のところ、一般の方々から個人型DCについて、お問い合わせが増えるというような状況にはありません。まずは、金融機関から個人型DCについての案内が活発化することが先にあると思います。

 すでに未確定の情報を元に動き出している向きもあると聞きますが、今のところ確定拠出年金法の改正案が示されていませんので、金融機関 は動こうにも動くことができないのが実情です。制度の枠組みが示され、制度変更のスケジュールが明らかになることによって、新しい個人型DCについての取 り組みが具体化していくと思います。

今後、個人型DCの普及のために必要なことは?

 個人型DCについての情報がより広く伝えられ、税制優遇などのメリットがわかりやすく説明されることが一番大きいと思います。確定拠出年金法の改 正が待たれるところですが、そこで、全ての国民が個人型DCの加入対象者になるということがアナウンスされることの効果は、大きなインパクトがあるでしょ う。

 たとえば、現在は加入対象者から外れている公務員の方々が個人型DCを利用できるようになれば、各地域において地方公共団体との接点が 大きい地域金融機関が、これまで以上に熱心に個人型DCの案内を始めると思います。また、同様に専業主婦の方々が加入対象に加われば、日頃、家計の決済で 親密な関係にある地域金融機関にとって新たな関係づくりのひとつとして、個人型DCがクローズアップされる場面も増えるでしょう。

 このように様々な機会を通じて個人型DCの制度内容やメリットが語られることによって、市場は大きく成長していくと思います。

 また、小規模事業主による従業員の個人型DCへの事業主掛金納付制度が実施されることによって、中小企業への個人型DC制度の普及が大きく進む期待もあります。

 もちろん、資産運用を行う上で必要な投資教育について、サポートを行っていくことも重要です。現在は、基本的に加入者の個々人がWEB コンテンツを利用し、または、コールセンターに問い合わせをすることによって、自ら学ぶことが求められていますが、個人型DCの加入対象者が拡がることに より、資産運用の経験や知識が浅い人にも分かりやすく、経験豊かな人にもご満足いただけるきめ細やかなコンテンツの提供が運営管理機関のサービスとして求 められると考えています。

 さらに、現在は加入資格判定までに時間がかかるなど、加入までの手続きに時間がかかっているところを、即時加入ができるよう、手続きのペーパーレス化も進めるなど、事務手続きの簡素化を進めることも必要だと感じます。

 当社では、これまで積み上げてきた個人向けのDC販売のノウハウを活かし、提携させていただいている金融機関ならびに保険代理店と一緒になって、引き続き、個人型DCの普及・発展に努めていきたいと考えています。

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