DCニュース

 

企業年金改定への100社調査、DC「デフォルトファンド」義務化に強い抵抗感

2015-02-24

 モーニングスターでは2015年1月~2月に企業年金制度の改定に関する企業担当者の意向を確認する「100社調査」を実施した。その結果、現在 の枠組みの変更には強い抵抗が感じられた。既に500万人以上の加入者が利用している年金制度であるだけに、既存の枠組みを崩す変更、また、制度運営の自 由度を制限する規制には抵抗があるようだ。特に、運用等において加入者が意志を示さない場合に自動的に割り当てられる「デフォルト商品」については、現行 の「元本確保型商品」を維持・継続したいという意向が強く表れ、「デフォルト商品を法令等で規定すべきではない」という意見も多くあった。

 「100社調査」は、2015年1月16日に開催された社会保障審議会企業年金部会において、企業年金制度に関する議論が一巡し、「議 論の整理」がまとめられたことを受けて、企業側の受け止めを調査したもの。DC単独規約を運営する全国の大手企業100社にアンケート用紙を送付して回答 を求めた。有効回答率は25%だった。

継続投資教育の「努力義務化」には、現状維持を望む声が強い

 まず、企業年金部会で概ね意見の一致をみて、今後の方向性が定まっている内容として「継続投資教育は企業の“努力義務”とすべき」という点については、約4割(37%)の賛同にとどまった。「現状のまま配慮義務でよい」という回答が4割を超え最多で、「継続投資教育について企業の義務とすべきではない」という意見も合わせると6割強が、継続投資教育の重み付けの強化に否定的な見方をしている。

継続投資教育は企業の「努力義務」とすべき

出所:モーニングスター作成

 この投資教育に関しては、「厚生労働省が基準を示すべき」とされているが、この基準に対しても25%が「No」(「Yes」は71%)の回答をし ていることから考えると、「教育のやり方にまで規定を設けられ、それを“努力義務”として企業の責任に押しつけられてはたまらない」といった、規制の強化 に対する抵抗感の表れとみることもできる。

 また、「継続投資教育」はDC導入企業のうち30%程度が未実施という調査結果もあり、「企業年金としてDCウエイトが小さく、DC制 度への関心が低い」という企業も一定程度は存在すること。また、継続投資教育について(学校教育での金融リテラシーの向上をないがしろにして)企業だけの 責任として負担を押しつけるような議論への反発という側面も合わせた数値であると理解したい。

運用商品の提供数の制限については意見が割れる

 運用商品数については、DC運営の歴史が長くなるほどに商品数が増加する傾向にある。企業年金連合会が実施した実態調査によると2014年3月末 現在で平均採用本数は18.3本で前年度よりも約1本増加した。企業年金部会では、「一般的に選択肢が増えると、結果的に選択しようという意思が挫けてし まう傾向がある」という研究があることを踏まえ、「10本以下」という案が示されて議論されたところだが、この点では企業側の反応は分かれている。「10 本以下」が25%と一定の賛同が寄せられているが、「制限すべきでない」は38%、「30本以下」が33%とほぼ3分している。

 企業としては、「提供本数に一定の制限は必要だが、10本以上は商品数が必要」という考えなのだろう。この提供数の制限を現実的なものとするために、「除外規定」は実行可能な形にしてほしいという意見が大半(83%)を占めた。

運用商品の提供数に上限を設けるべき

出所:モーニングスター作成

デフォルト商品では「元本確保型」の現状追認要求が強烈

 一方、「あらかじめ定められた運用方法(デフォルト商品による運用方法)」については、企業年金部会での議論を踏まえ、「分散投資効果が見込まれる商品を設定することを努力義務とする必要がある」とされているが、この方針に対しては、強烈な反発がある。デフォルト商品として「分散投資効果を促すファンド商品とすべき」ということに、「Yes」と賛同するのはわずか7%。67%が「デフォルト商品を法令等で決めるべきではない」と回答し、4社に1社が「デフォルト商品は元本確保型とすべきである」と現状の追認を求めている。

運用のデフォルト商品は分散投資を促すファンド商品とすべき

出所:モーニングスター作成

 企業年金部会では、今後の経済環境を「ゆるやかなインフレ」と想定し、老後の生活資金として積み立てていく資産を元本確保型で運用を続ければ、将 来には積み立てた資産が目減りする可能性が高いため、インフレ率を上回る運用を促すべきであるという考えが背景にある。ただ、現実のDCの運用現場では、 デフォルト商品に設定されているのは、そのほとんどにおいて預金等の元本確保型商品であり、元本確保型商品を選んで積立を続ける加入者も少なくない。企業 のDC担当者としては、加入者ニーズを前提にした対応が望ましいという意見だろう。ここに、将来の環境変化を前提にした企業年金部会での議論とのギャップ が存在する。

 また、デフォルト商品の議論では、デフォルト商品の基準の設定については「省令等の下位法令で行うこととする」とされた他、リスク性の ある運用資産によって加入者が損失を被り、ひいては事業主の訴訟リスクに発展した場合などに対応するため、例えば米国401(k)で採用されている「セー フハーバールール(適格デフォルト商品を設定した場合、運用結果について事業主が責任を負わない取り決め)」の設定などについて、議論の半ばである。デ フォルト商品の考え方について「なぜリスク商品が必要か?」ということへの一層の説明、また、より具体的な姿を示す必要がありそうだ。

バックナンバー

2014 | 2015 | 2016 | 2017