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厚生労働省、確定拠出年金法等の一部を改正する法律案を4月3日に提出

2015-04-06

 厚生労働省は2015年4月3日、第189回通常国会(会期:6月24日まで)に「確定拠出年金法等の一部を改正する法律案」を提出した。(1)企業年金の普及・拡大のため、中小企業を対象に「簡易型DC制度」を創設、「個人型DCへの小規模事業主掛金納付制度」を創設、DCの拠出規制単位を月単位から年単位に変更、(2)ライフコースの多様化への対応として、個人型DCに第三号被保険者や企業型DC加入者、公務員等共済加入者を加入可能とする、DCからDB等への年金資産の持ち運びを拡充、(3)DCの運用改善のため、継続投資教育の努力義務化や運用商品数の抑制、デフォルト商品規定の整備などを骨子としている。DCの拠出規制単位の年単位への変更、また、個人型DCの第三者被保険者等への加入範囲の拡大は2017年1月1日に施行し、その他は、公布の日から2年以内で政令の定める日に施行するという内容。厚労省から提出された法案は、以下の通り。

企業年金の普及・拡大に向け中小企業(従業員100名以下)の制度大幅拡充

 企業年金の普及・拡大については、従業員100名以下の企業に対する制度の普及を促す内容になっている。中小企業における企業年金実施割合が低下傾向にあり、かつ、厚生年金基金制度の見直しで中小企業が主に加入する総合型基金の解散が増えることが予想されるため、その受け皿を用意する必要があるた め。

 「簡易型DC」は、設立時書類を半分以下に省略するなど簡素化し、行政手続を金融機関に委託することが可能な制度として創設する。「簡易型DC」については、企業年金部会において英国NEST(National Employment Savings Trust:中小企業を対象に全事業主が加入することを前提にした制度、運用商品数は6本)など運用商品数を少数に限定した制度が参考事例として示されているが、具体的な内容については厚労省令で示すとされている。

 「個人型DCへの小規模事業主掛金納付制度」は、個人型DCに加入している従業員に対して、事業主が追加で掛金拠出を可能とするもので、企業として年金制度を新たに導入する手間を省いて、実質的に企業が従業員に対してDC制度を用意していることと同等の効果が得られる。事業主が個人型 DCに拠出した掛金は、従業員の給与所得に係る収入に含めず、かつ、事業主には損金算入が認められるため、税制上のメリットが得られる。

 また、DCの掛金単位の年単位化は、従来は企業型DCの掛金を「月5.5万円」など月単位で規制していたものを「年66万円」など年単位で規制することに変更し、年限度額の範囲内で賞与時等に使い残し分の一括拠出等が可能にする。

ライフコースの多様化への対応で個人型DCの加入可能範囲を拡大

 労働の多様化が進む中、生涯にわたって継続的に老後に向けた自助努力を可能とするため、個人型DCについて、第3号被保険者や企業年金加入者、公務員等共済加入者を加入可能とする。

 新たに加入可能となる第3号被保険者の拠出限度額は年額27.6万円(月額2.3万円)、公務員等共済加入者は年額14.4万円(月額 1.2万円)。2015年10月以降は、被用者年金一元化によって、共済年金は厚生年金保険に統合され、共済年金の3階部分の現行の「職域加算部分」が廃止され、新たに「年金払い退職給付」が創設されることになっている。これに加えて、個人型DCにも加入可能とすることで、公務員等の退職給付制度を民間サラリーマンと同等の制度枠組みとして整備する。


出所:厚生労働省

 また、企業型DCが存在する企業の従業員も個人型DCへの加入が可能になるが、確定給付型年金がない企業の場合、企業型DCへの事業主掛金の上限 を年額42万円(月額3.5万円)とすることを規約で定めた場合に限り、個人型DCに年額24万円(月額2.0万円)の限度で加入が可能。確定給付型年金がある企業の場合、企業型DCの事業主掛金の上限を年額18.6万円(月額1.55万円)とすることを規約で定めた場合に限り、個人型DCに年額14.4 万円(月額1.2万円)を限度に加入が可能になる。

 制度間で年金資産の持ち運び(ポータビリティ)については、新たに、DCからDBへの資産移管が可能になる他、中小企業退職金共済(中退共)から企業型DC、また、企業型DCやDBから中退共への資産移管が可能になる。同時に、資産移管にともなって加入者期間の通算もできるようにする。

DCの運用の改善に向け、商品提供数に一定の上限を設定

 DCの運用については、運用自体を困難に感じている加入者がいるため、加入者の投資知識等の向上を図るとともに、運用商品提供数の抑制等の措置を講ずることによって、運用商品をより選択しやすい環境を整備する。

 加入者の投資知識等の向上に資するため、現行では「配慮義務」となっている継続投資教育について「努力義務」とすることのよって投資教育の継続実施を促す。

 また、商品提供数について一定の制限を設ける(具体的な数については政令で定める)ことにより、運用商品の厳選を促す。商品除外要件を 現行の商品選択者全員の同意が必要としているところ、商品選択者の3分の2以上の同意として商品の入れ替えが可能にする。ただし、施行日以前に提示された 商品については、商品提供数の制限の対象外とする他、運用除外についても現行通り全員同意の取得を要するものとする。

 現行の「少なくとも3つ以上の運用商品の提供、かつ、1つ以上の元本確保型商品の提供」という規定を見直し、「リスク・リターン特性の異なる3つ以上の運用商品の提供」に改定し、元本確保型商品の提供義務を廃止する。さらに、デフォルト商品による運用に係る規定を整備し、(1)デフォル ト商品は、運営管理機関・事業主の任意で指定、(2)運管等は、加入者に加入時にデフォルト商品の内容を周知、(3)加入者が商品選択を行わない場合、運 管等は加入者に商品選択を行うよう通知、(4)通知してもなお商品選択を行わず一定期間経過した場合、自動的に指定運用方法を購入。デフォルト商品につい ては、法令において一定の基準を設定。施行日前に納付した掛金については対象外。

その他の措置として、運営管理機関は5年ごとに再検討を努力義務に

 事業主がDCの運営管理業務を委託する運営管理機関について、5年ごとに評価し、検討を加え、必要に応じてこれを変更すること等を努力義務とする。また、中小企業のDCの投資教育について企業年金連合会への委託によって実施することを可能とする。個人型DCについては、国民年金基金連合会(国基連)に「個人型DCの啓発活動及び広報活動を行う事業」を追加する。

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