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企業年金部会が再開、DBの弾力化で「リスク対応掛金」「リスク分担型DB」を議論

2015-09-14

企業年金部会の様子

社会保障審議会企業年金部会が9月11日に再開された。企業年金の今後のあり方について有識者の議論を通じて望ましい方向性を見出していこうという議論の場で、同部会での議論は制度改定の具体策にも反映されている。2015年1月16日に「議論の整理」を行って、その内容を公表して以来、中断されていた。その後、4月3日に「確定拠出年金法等の一部を改正する法律案」が提出され、8月5日に衆議院に付託、同21日、28日に衆院厚生労働委員会で審議を経て、9月3日に衆議院本会議で同法案が可決、同日に参議院に付託されている。9月11日に再開された部会では、議事を「確定給付企業年金の弾力的な運営について」「厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会における議論の経過について」を取り上げ、審議された。

 「確定給付企業年金の弾力的な運営について」は、1月16日にまとめた「議論の整理」においても、「柔軟で弾力的な給付設計(ハイブリッド型の企業年金制度)について、引き続き制度導入を視野に入れた検討をすべき。DBの弾力的な掛け金拠出についてもDC法等の見直しに合わせ実施できるようにべき」とされた。また、6月30日に閣議決定された「日本再興戦略」改訂2015においても、「確定給付企業年金の制度改善について検討すること」とされている。

 厚労省が示した案は、(1)弾力的な掛金拠出の仕組みについて「リスク対応掛金」の拠出を可能とすること、(2)「リスク分担型DB」(ハイブリッド型)の設計について、リスク対応掛金を含む掛金収入現価が、財政悪化時に想定される積立不足の2分の1の水準を下回っている場合に給付減額に該当することと整理してはどうか――という2つの提案。

 まず、「リスク対応掛金」について、「財政が悪化した時に初めて掛金対応を行う現行の仕組みでは、積立状況の悪化が掛金増加に直接結びつき、DBの安定的な運営という観点から課題がある」とし、「20年に1度の損失にも耐えうる基準として『財政悪化時に想定される積立不足』を測定し、それを想定した掛金拠出(=リスク対応掛金)を可能とする」というもの。税務当局は「恣意的な掛金拠出による過剰な損金算入を防止する」という観点から、財政均衡を上回る水準での掛金拠出を認めてこなかった。これを制度として確立したいという提案だ。

 委員の間からは、「DB制度が安定し、企業年金制度の選択肢が増えるという観点から概ね結構な提案」という見方が支配的だった。ただ、「20年にわたって拠出するというリスク対応掛金が、5年に1度の財政再検証で、そのたびにリスク対応掛金の見直すことになった場合、掛金拠出のルールをどのように設定するのか分かりやすく整理する必要がある」などの意見が出た。

 一方、「リスク分担型DB」については、現行のDB制度が「積立不足が発生したら、事業主が追加拠出により補てんする必要がある」など事業主にリスクが集中し、DC制度が「運用が低調でも事業主による補てんがなく加入者の自己責任」と加入者にリスクが集中している点を踏まえ、DB制度とDC制度の中間的な仕組みを導入するもの。運用成果が予定利率に届かない場合、労使の合意によって予め給付減額のルールを作っておくことによって、リスク発生時におけるDB運営の安定性を高めると説明している。

 この提案についても、委員の間からは「企業年金制度の選択肢を増やす制度」として概ね前向きな評価があった。ただ、「給付減額を伴う制度設計であり、加入者が意思決定に参画することが前提になる。労働組合に従業員の多くが参加している場合は労組が代表者であることに異論は出ないだろうが、労組がない企業の場合はどうするのかなど、明確にしておくべきだ」などの指摘があった。

 なお、「厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会における議論の経過について」は、2014年10月1日~2015年3月31日まで、ほぼ毎月1回開催された専門委員会の議事要旨が説明された。今後も半年に1回、同様の報告を行う。

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