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フィデリティDCセミナー、継続投資教育にゲームを取り入れる「Gamification」に熱い関心

2015-10-13

「フィデリティDCセミナー2015」の様子

 フィデリティ投信は2015年10月9日、東京・丸の内のJPタワーホール&コンファレンスにおいて「フィデリティ DCセミナー 2015」を開催した。厚生労働省社会保障審議会企業年金部会で部会長代理を務める慶應義塾大学法科大学院教授の森戸英幸氏が「企業年金制度の今後の方向性と若年層への加入者教育の在り方」をテーマに講演を行ったほか、ゲームを使った金融教育をめざす「ゲーミフィケーション(Gamification)」をテーマに活発な議論を行った。

 慶大の森戸氏は、前通常国会に提出された確定拠出年金法の改正法案に深く関わった企業年金部会での議論を振り返った。2015年改正法案は、DC法成立から10年以上を経過して全体的な見直しに踏み込んだ改正案でありながら、「DBとDCのイコールフッティングをめざした議論についても、拠出時・給付時の仕組みのあり方についての検討は『先送り』になるなど、まだまだ議論が必要な分野は多い」とし、引き続き、企業年金部会において企業年金のあり方を巡る議論が継続されると語った。

 一方、「ゲーミフィケーション」については、フィデリティ・インベスメンツ エフキャット(FCAT)センター・フォー・ゲーミフィケーション バイスプレジデント、アーキテクチャーのチャック・ピッケルフォート氏が来日して、現在の米国の企業型DCにおけるゲームツールの利用状況など最新情報が報告された。

 FCATセンターは、フィデリティが最新のテクノロジーについての理解を深め、テクノロジーを金融教育に活かす手段として活用する研究を進めているという。ピッケルフォート氏は、「子どもたちがゲームによって、何時間も『単純作業』を自発的に続けることができるなら、これを金融教育に応用して『はまってしまう』教育コンテンツを作ることも可能。アメリカでも近年になって活発に議論されている分野だが、実際に企業型DCの投資教育に応用して、際立った効果が報告されている」と報告した。

 たとえば、FCATが開発した「マイ・シミュレーテッド・ライフ」というシミュレーションツールは、DC加入者に自身の資産がどのように推移していくかについて、その可能性を示唆するツールで、ゲーム要素を取り入れて開発したもの。このツールを使ってシミュレーションのゲーム大会を開催した企業では、ゲーム参加者の50%が自身のDC資産の配分を変更する手続きを行ったという例もあるという。

 このピッケルフォート氏の報告に対し、森戸氏は「DCの運営において、投資教育は重要であり、今回の改正法案でも努力義務として継続的に実施していくことを求めている。ただ、教育の効果には限界があり、それを補う手段としてデフォルトファンドを設定し、商品の選択を行わない加入者には自動的に運用商品が購入される仕組みを導入しようとしている。このようなデフォルトファンドの設定は、米国においても、DC制度普及の大きな力になったという認識だった。その米国で、改めてテクノロジーを活用して投資教育を見直す動きがあることは意外な感じを受ける」と感想を語った。

 これに対し、ピッケルフォート氏は、「デフォルトファンドのアプローチは続いているものの、全ての人を満足させる1つのプロダクトというものはない。また、デフォルトファンドを購入していても、その中味について理解できないという状況は好ましくないという考えは根強くある。さらに、健康寿命が延びていることで、退職者が100歳まで生きることに対応した資金プランを考える必要も出てきている。一人ひとりに異なる状況があるため、『自ら考えてほしい』というのが、ゲーミフィケーションのアプローチを取り入れる企業のニーズだ」と解説した。

 そして、「フィデリティは、アメリカだけでなく、ヨーロッパや日本において、FCATセンターが開発した様々なアプリケーションを企業に紹介する活動をし始めている。まだ、始まったばかりの取り組みだが、有効な手段として定着する可能性は高いと感じる。各地における取組の成功事例等を相互に紹介し、ゲームを通じて金融知識を分かりやすく受け入れ、理解を深める人々を増やしたい」と語っていた。

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