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マーサーが世界の年金制度比較、日本は25カ国中23位で「持続性」が低評価

2015-10-20

 世界最大級の人事・組織コンサルティング会社マーサーは2015年10月19日、2015年度グローバル年金指数ランキング「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数ランキング」を発表した。同ランキングは、世界各国の年金制度を比較し、各国年金制度を横断的、かつ、多角的、包括的に調査した指数で今年7年目になる。日本は世界の主要国25カ国中23位という低い評価になった。

 同指数はマーサーとビクトリア州政府による資金提供の下、オーストラリア金融研究センター(ACFS)によって開発されている。評価指数は40以上の質問項目から構成されており、「十分性(Adequacy)」、「持続可能性(Sustainability)」、「健全性(Integrity)」に大別される。長寿リスク、高齢者の人口割合増加、長寿化による貯蓄額の不足など、現在多くの退職者が直面しているリスクから市民を守るため、各国政府がどのように適切かつ持続可能な給付の提供をし得るかについて提案している。

■ランキング上位の常連は、デンマーク、オーストラリア、オランダ

 ランキング首位はデンマークで、2012年から首位の座を保ち、総合指数は81.7。同国とオランダのみが最高ランク“A”の評価を得ている。十分に積み立てられた 年金制度や、多くの加入者数、優れた資産構成と掛金の水準、十分な給付レベルおよび法令の整った個人年金制度が首位となった主な理由である。デンマーク、オーストラリア、オランダは3年連続トップ3の順位を維持している。

 マーサーのシニア・パートナーであり、当レポートの責任者でもあるデービッド・ノックス博士は、「年金制度を改革し、退職後の経済的安定を保証するための適切な改革を行うタイミングとしては、個人にとっても社会にとっても、今しかありません。当ランキングは、各国の政策立案者が、持続可能でかつ、十分性が高い年金制度から学び得る重要な参考資料です。各国共通で適合し得る完璧な年金制度は存在しないということは承知していますが、個々の国におけるより良い制度構築のために共有されるべき、多くの共通した特徴があることも事実です」とコメントしている。

■日本の年金制度は、「十分性」が評価D、「持続性」がE、「健全性」はC+

 日本の年金制度については、例年指数・ランキング共に大きな変化がなく、制度の安定性はみられるものの、高齢化社会をめぐる課題に対する取り組みなど、引き続き改善の余地が あることが明らかになった。

 日本の総合指数は例年とほぼ変わりなく44.1で、評価は「D」であった。各項目の指数については、最も低い項目である「持続性」は28.5から26.5(評価E)とさらに下がり、「十分性」の項目は48.8(評価D)、「健全性」の項目指数は61.2(評価C+)とほぼ変化はなかった。

 マーサージャパンの年金コンサルティング部門シニア・アクチュアリーの塩田強氏は、「日本の年金制度の総合評価は前年度とほぼ同じ結果となりました。世界各国の中でのランキングでみると、残念ながら前年度と同様に下位の評価となっています。 日本の総合評価が低い主な理由としては、年金給付による所得代替率(現役世代の年収と年金給付額の比率)が低いことによる年金給付の十分性への懸念および、公的年金の期待支給期間(平均余命と年金支給開始年齢の差)が長いことによる年金制度持続性へ懸念等が挙げられます。

 2015年は、公的年金において支給額の伸びを賃金や物価の上昇分より抑えるマクロ経済スライドが初めて発動された年になりましたが、他国と比べても少子高齢化の進展が進んでいる日本においては、持続可能な年金制度となるために必要な対応を早急に実施することが求められています。

 公的年金制度が見直されていく中では、老後の生活保障として、公的年金だけに頼るのではなく、公的年金を補完する役割を担う企業年金制度の役割がますます重要になっていくと想定されます。各自が改めて企業年金制度の役割についても検討することも重要となっています」と述べている。

 そして、マーサーは、日本の年金制度の総合指数は、以下の方策により向上が可能だと考えている。

・家計貯蓄額の増加
・年金給付額の引き上げに伴う、所得代替率の改善
・退職金の一部を収入源とみなすことを課する制度を導入
・平均余命の延びに伴う公的年金制度の支給開始年齢のさらなる引き上げ
・政府債務残高GDP比の引き下げ

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