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大崎電気工業、運管担当者と緊密な連携で継続投資教育を定例化し運用指図率向上

2016-01-12

大崎電気工業
総務部総務課担当課長
山田徹氏

大崎電気工業は確定拠出年金(DC)の運営において運営管理機関との連携を密にし、継続投資教育の計画的な実施につなげている。2007年4月にDCを導入した現在の企業年金制度に移行。それ以来、DC制度における未指図率(運用商品や資金配分率の指定等)が0%水準をキープする一方で、指図率(配分変更またはスイッチングを実施した人の割合)がジリジリと向上。制度導入当初に10%台だった指図率は、2015年末には20%を上回ってきた。同社総務部総務課担当課長の山田徹氏に、確定拠出年金への取り組みについて聞いた。

企業年金制度に占めるDCの位置付けは?

 当社では2007年に適格年金制度を廃止し、2007年4月からDBとDCからなる現行の制度に変更しました。DBとDCの比率は、7対3です。この他に厚生年金基金にも加入していますので、退職給付制度全体に占めるDCの割合は30%以下という比率になります。

 したがって、DCの継続教育を企画・実施していく中で、DCだけではなく、企業年金全体の状況を説明し、その中で、DCの運用について説明していくようにしています。加えて、従業員の老後を支える年金としては公的年金制度があり、さらに、年金以外にも、財形や持株会、個人保険などの制度もあります。これらの制度の全体像を理解し、従業員の一人ひとりがライフステージに応じて、上手に活用できるようにしていくことが大切なことだと考えています。

 DCの継続教育については、毎年1回の説明会が定着しています。

継続投資教育は、その内容を毎年見直しているということですが、具体的には?

 DCについては2007年に導入時説明会を全社員対象で実施して以来、世代別説明会、新商品導入時の商品説明会などを実施してきました。

 制度導入から2~3年は、制度運営に不慣れなこともあり、DCに関する手続き業務で手一杯の状況で、継続投資教育については運管に頼り切りでした。ただ、制度の定着のためには、導入時研修に加えて継続投資教育が必要であるという考えで運管とも一致していましたので、制度導入の翌年に、全社員を対象にした「再確認説明会」を実施した後も、毎年1回の開催を実施しました。3年目からは年代別に実施し、「50歳代向け」「40歳代向け」「20・30歳代向け」と開催していきました。

 制度導入から4、5年が経過すると、自社の事情も考えながら、説明会を企画する余裕が出てきました。運管に作成していただいた資料案をもとに、意見交換の場で積極的に発言できるようにもなり、資料を自社向けにアレンジすることもできるようになりました。そして、説明会を2部構成として前半では企業年金制度の全体像について説明し、後半に運管から資産運用の基礎知識について解説してもらうようにしました。現在では、小規模事業所の説明会では社内スタッフが講師を務めて実施しています。

継続投資教育の企画の段階から会社が関わって実施するようになって、教育を受ける従業員の評価は変わりましたか?

 DC単独ではなく、DBや厚生年金基金も含めて退職金制度全般について説明するようにしてから、DCのリスクの考え方が明確になったと聞くようになりました。

 また、説明会は本社や主力工場など全8カ所で開催していますが、最初は小さい規模の事業所からスタートし、従業員の反応を見ながら用語の使い方や話の進め方などを修正するようにしています。このような調整ができるのは、説明会の企画の段階から係わって実施しているためだと思います。

 具体的な説明会の成果については、ゆっくりとではあるが着実に浸透してきているといえます。たとえば、DCで配分変更やスイッチングなど運用指図を行った加入者の比率(指図率)をみると、制度導入当初は10%台で横ばいだったものが、徐々に向上して2014年ごろから20%を超えるようになり、今では20%以上で定着しています。この2~3年は株高などによって運用成績が向上している時期と重なっているため、指図率の向上は教育の成果とだけはいえないのですが、この指図率が落ちることがないようにしていくことが大事だと思っています。

御社では運営管理機関の担当者と毎月1回の定例ミーティングを開催していると聞きます。定例ミーティングを行うようになったきっかけと、具体的な打ち合わせの内容は?

 定例ミーティングとは当社サイドの認識で、運管の証券会社では定例という意識はないかもしれません。毎月行うようになったきっかけは、運管の担当者が毎月のように独自の月報を持って訪問されるようになったのです。規約全体の運用状況について説明を受けるうちに、私どもの方から追加のデータを求めたり、また、訪問がない場合には、私どもの方から訪問をお願いするうちに、結果的に毎月のミーティングになってきました。

 現在では、「指図率」や「未指図率」、また、元本確保型のみで運用している人の割合を示す「元本確保型率」、そして、DC専用サイトへのパスワードの登録率を示す「PW登録率」について、年代別に集計した資料に基づいて、現状を評価して改善策について話し合うようにしています。

 たとえば、年代別にデータを比較すると、20代の社員の「元本確保型率」の比率が高いことが明らかに出ました。制度導入当初は5%~10%だったものが年々上昇し、2013年からは40%を超えるようになっていたのです。全社平均の「元本確保型率」が10%台であるのに、20代が40%というのは、異様に感じられました。

 そこで原因を考えたのですが、2007年の導入研修、08年の再確認勉強会当時は、運管の担当者が新人研修も行ったのですが、2009年以降の新入社員の導入時研修は、社内講師が実施するようにしていたのです。そこで、2014年の新入社員の導入研修は運管の担当者に資産運用のポイントについて話をしてもらうようにしました。そうすると、14年、15年入社の10代社員では元本確保型率がゼロになるなど、若手社員の意識が大きく変わりました。

 このように毎月の状況をデータで継続的にフォローしていくことによって、課題が明らかになり、効果的な継続教育の内容を設定することができるようになりました。

 また、日常業務はDC以外にDBや厚生年金基金、給与計算や社会保険関連の業務など複数にまたがっていますが、定期的に運管の担当者に来社していただきDCに特化した議論を行うことによって、DCについて考えるきっかけになっています。

 加えて、近年の制度改定の議論の推移等については、運管担当者との定期的なミーティングによってフォローできています。制度改定について整理して情報を取得できる貴重な機会になっています。

今後の課題は?

 DCについては、未導入のマッチング拠出についてどうするのかを考えなければなりません。また、運用商品のラインアップの見直しも課題と認識しています。現在、元本確保型商品が6本、投資信託が18本で計24本です。2013年11月にリスクコントロール型のバランスファンド(1本)と国内リート(1本)を追加しました。

 資産運用の現状を見ていると、多くの社員が配分比率などを変えないでいることから、運用商品の中で自動的に配分比率が調整されるターゲットイヤー型のファンドにも関心があるところです。また、元本確保型のうち保険商品が4本あるのですが、全てが期間5年間で、同じような商品を4本置く必要がないと感じますので、この整理も課題です。

 さらに、毎年実施している説明会の内容についても、これからはDCだけに絞らず、財形や持株会、生保、個人年金など、他の制度との関係性の中でDCをいかに使っていくべきなのかというテーマで進めていきたいと思っています。公的年金や税金などにも話が広げられれば、従業員の資産形成や老後の資金確保のために、最適な組み合わせや運用の仕方などについて個々人が考えるきっかけになると思います。

 現在、当社における担当者は、企業年金と財形や生保等で別々になっています。それぞれの担当と連携をとりながら、当社の従業員の実情にフィットした説明会にしていきたいと思っています。

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