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第34回年金部会、GPIFの日本株式インハウス運用について慎重意見が相次ぐ

2016-01-20

第34回年金部会の様子

 社会保障審議会年金部会(第34回)が1月19日に開催され、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用の在り方について議論が行われた。名古屋市立大学大学院経済学研究科の教授である臼杵政治氏からヒアリングの後、各委員からの意見や質問等が活発に交わされたが、「GPIFが株式運用をインハウスで行うことは慎重であるべき」という意見が多くを占めた。部会の最後に部会長代理の植田和男氏(東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授)から、「改めてGPIFの運用目的、また、デリバティブ取引の具体的な活用意図などを説明してもらいたい」という意見が出された。GPIFの運用についての議論は、次回も継続する。

 年金部会では現在、GPIFのガバナンスについて議論を深めることと並行して、GPIFの運用の在り方について議論している。現在の法律では規定されていない「株式への直接投資(インハウス運用)」や、「デリバティブ取引の活用、オルタナティブ資産への直接投資など運用手法の多様化」について是非を検討している。「ガバナンスが強化されることにともなって、運用の自由度を増して近年の投資手法を取り入れていくべき」という考え方が背景にある。

 臼杵教授の意見は、「株式のインハウス運用の導入、デリバティブ取引の活用など運用対象・運用手法の拡大によって投資管理上のメリット(パフォーマンスの向上も含める)は認められる。他方で最大のリスクは、株主としての銘柄選択・議決権行使における説明責任と政治的干渉」というもの。特に、GPIFの資産規模の大きさや公的性格を考えると、アクティブ運用で選別投資を行う際に、経済的利益の追求とは異なった行為が生じるリスクがあるとした。

 臼杵氏は、「GPIFの運用は、あくまで投資家としての経済的利益を追求することによる被保険者の利益の最大化であるべきだが、GPIFの公的性格が強調される局面では、この運用原則が脅かされる恐れがある」とした。たとえば、原発廃止の株主提案があった際の議決権の行使、ブラック企業批判のある企業への投資、賃上げ企業への投資などの場面で、不都合が生じる可能性があると指摘した。

 その上で、「株式へのインハウス投資はパッシブ運用で十分といえ、インデックスの多様化に工夫の余地を残して良いのではないか」と意見を述べた。

 GPIFのCIOを務める理事の水野弘道氏は、「政治的な影響は、ガバナンスで排除可能である。また、GPIFの投資行動が、他の運用者にフォローされるなどの影響が広がるのではないかという心配については、GPIFはもとより、各運用機関は、それぞれに受託者責任のもとで運用業務にあたっているため、経済合理性のない行動は十分に抑制されるのではないか」という意見を述べた。

 委員からの意見で多かったのは、「GPIFの資産規模が大きく、国内の株式市場に占める保有割合が市場全体の7.6%(2015年3月31日現在)を占めるほどに大きい」ことからくる懸念が大きいようだった。米国のCalPERSの保有国内株式の保有比率は0.4%、カナダのCPPIBが0.9%など、公的年金の運用機関が母国市場に占める株式保有割合が、おおむね限定的であることとの比較感から、GPIFが自らの意図をもって国内株式の保有に動くことへの抵抗感が露わになった。

 委員の中からは、「国内株式のインハウス運用はパッシブ運用に限定すべき」、「国内株式のインハウス運用は慎重であるべきで、認めるべきではない」などの意見が続いて出された。

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