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GPIFの運用改革は慎重に、第37回年金部会で株式インハウス運用見送りの意見多数

2016-02-09

第37回年金部会の様子

 GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のガバナンスと運用の在り方について議論してきた社会保障審議会年金部会(第37回)が2月8日に開催され、「独任制から合議制への転換、意思決定・監督と執行の分離を基本とするガバナンス体制の更なる強化を先行し、運用については早急に手当てが必要なデリバティブの規制緩和やコール市場の活用を行うなど部分的な規制緩和にとどめる」という方針で概ね一致した。年金部会は、ガバナンスと運用について、今年に入って1月12日、19日、28日、2月2日、8日と集中的な審議を行ってきた。

 まず、ガバナンス体制の強化については、合議制機関の「経営委員9人(うち3人は監査等委員を兼任)」に、「資金の出し手である労使の意見が反映されるべき」との強い意見が出され、「被保険者および事業主の立場を適切に代表し得ると認められる団体の推薦する者各1人を含む」という案で了承された。中には、労使の代表が過半数を占めるべきという意見も出たが、「運用に特化した機関であるため、経営委員会メンバーには運用の専門性は確保すべき」との意見が強かった。また、ガバナンスにおいては、情報公開について可能な限り情報公開を行い、「広く国民の理解を得ていくことが重要」という文言が追加された。

 一方、株式のインハウス運用の是非を巡る議論では、労使代表の委員から「政府系機関と位置づけられるGPIFによる株式の直接保有は、民間企業の経営に対する国の介入につながりかねない」と、強く懸念する意見が出た。その結果、議論の整理において、株式のインハウス運用については「認めるべきではない」、「パッシブ運用までは容認する」、「アクティブ運用まで実施可能とすべき」という3つの意見を併記。合意には至らなかった。そして、実際には「株式インハウス運用を認めるべきではない」という意見が多くを占めた。

 このように、GPIFによる株式の直接投資に慎重な意見が多数出される議論の中で、GPIF運用委員会の委員長も務める米澤康博氏(早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授)から、「インハウスでのパッシブ運用も当面は認められないということになると、運用上の機会損失を大きくしかねないと懸念する」という異例ともいえるコメントも出た。GPIFの運用現場からは「(運用の高度化、効率化や、専門性が高い人材の採用・育成の機会創出などの)希望が遠退いた」と失望する結果になったといえる。

 また、海外の公的年金運用機関が専門性を高め、伝統4資産のみならず、オルタナティブ資産にまで幅広く分散投資を進めている現状にかんがみ、プライベートエクイティ(未公開株式)、インフラストラクチャー、不動産等への直接投資の是非についても議論された。しかし、オルタナティブ投資については、現在のGPIF法の枠内で対応可能なLPS(リミテッドパートナーシップ)のLP(有限責任組合員)としての出資のようなGPIF自身が個別の投資判断を行わず、有限責任の枠組みで実施することに限定すべきという意見が多かった。加えて、デリバティブの活用についても「リスク管理に限定し、利用機会や利用額を制限するなど、極めて限定的な利用にとどめる」とされた。

 運用の自由度の拡大については、「まずは、ガバナンス体制の強化が狙い通りにチェック・アンド・バランスの機能を発揮するのか、検証期間を設けた上で検討すべき」との意見が大勢を占めた。

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