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「公的年金は世代間の仕送り」で賃金の伸びが低調なら年金額も抑制へ、第38回年金部会で改正法律案を説明

2016-03-15

第38回年金部会の様子

 第38回社会保障審議会年金部会が3月14日に開催され、3月11日に国会に提出された「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案」についての概要説明が行われた。厚生労働省の年金局長である鈴木俊彦氏が会議の冒頭であいさつし、「年金部会での精力的な議論を経て、改正案がまとまった。法案成立のため最大限の努力をしたい」と語った。

 提出された改正法のポイントは3つ。(1)公的年金制度の持続可能性を高めるための国民年金法等の制度改正、(2)年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の組織等の見直し、(3)日本年金機構の国庫納付規程の整備。このうち、(1)と(2)については、年金部会において一昨年以来の議論をしてきた内容がベースとなって、法案にまとめられた。

 制度改正については、「短時間労働者への被用者保険の適用拡大の促進」、「国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料の免除」、「年金額の改定ルールの見直し」の3点で見直すことが盛り込まれている。

 短時間労働者への被用者保険の適用拡大については、今年10月以降に従業員501人以上の企業等については、週20時間以上(現行は週30時間以上)、年収106万円以上の被用者には厚生年金に加入するよう適用拡大が実施されるが、これに加え、500人以下の企業についても「労使合意に基づき適用拡大を可能にする」が加わる。さらに、地方公共団体は500人以下であっても強制適用とする。これによって、既に法定化されている適用拡大の対象者約25万人に加え、潜在的に約50万人に適用が拡大される見通し。厚労省では「被用者保険の適用拡大を円滑に進める観点から、適用拡大に取り組む企業にはキャリアアップ助成金の活用による助成金を用意してサポートしていく」としている。

 また、国民年金第1号被保険者(自営業者)には産前産後の規定がないことから、これまで制度になかった「保険料負担の産休免除」を4カ月間の免除期間を設けて実施。また、免除期間の年金給付については第1号被保険者全体で月額100円程度の追加負担でまかなう。

 年金額の改定ルールは、現行の「マクロ経済スライド」による調整ルールを見直し、景気後退期には高齢世帯に配慮して年金額の名目下限を維持するものの、できるだけ早期に景気回復期には賃金・物価上昇の範囲内で名目下限を設けたことで生じた未調整分を調整・解消する。そして、「年金は世代間の仕送りであることから、賃金上昇率がインフレ率に及ばないなど現役世代の負担能力が低下しているときには、年金額も賃金変動に合わせて改定する」というルールを設ける。

 一方、GPIFの組織は、独任制から合議制に転換するとともに、「意志決定・監督」と「執行」を分離するガバナンス改革を実施。年金運用については、リスク管理の方法の多様化を進めるため利用可能なデリバティブ取引の方法を拡大。コール資金の貸付け等、短期資金の運用方法を追加する。年金部会で意見が対立した「株式のインハウス運用(GPIFが直接、上場企業の株式に投資する)」については見送り、「必要があると認めるときは、施行後3年を目途に、必要な措置を講じる」という検討規定をもうけた。

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