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三井住友アセットマネジメント、老後生活資金と資産運用について全国1200名調査を実施

2016-05-11

 三井住友アセットマネジメントは、全国の20代~60代の計1200名を対象にした「老後生活資金と退職金」に関する意識調査を実施した。その結果、男女を問わず全世代が老後に不安を感じていることが改めて明らかになったものの、資産運用をしている人は老後生活の満足度が高く、退職前後で生活水準が変わらないという人が多かった。調査レポートの詳細は三井住友アセットマネジメントの公式ホームページで公開している。アンケートの結果を踏まえ、老後資金と資産運用について、三井住友アセットマネジメントの調査部シニアストラテジストの市川雅浩氏と営業推進部DC・NISA推進課長の金井麻理子氏に聞いた。

■資産運用経験の有無が老後生活の満足度を左右

 意識調査は2016年3月に実施。20代~50代の男女各100名(合計800名)と、退職金を受け取った60代の男女各200名(合計400名)を対象に行った調査結果を分析した。

 調査結果によると、50代までの現役世代で約8割が「老後生活に不安を感じる」と回答し、老後の生活について最も不安を感じるものは約8割が「金銭面について」と答えた。金銭面の不安の内訳は、「老後資金の貯蓄」が1位で、次いで「年金の支給額」だった。ただ、実際に金銭面の準備をしている人は全体で約3割にとどまり、退職が近づいている50代でも約4割と半数以下の水準だった。

 一方、退職金を受給した60代は、受け取った退職金について「十分でない」「足りない」という人が約8割。老後に向けて「30代」「40代」から金銭面の準備を進めるべきと考えている。また、現在の老後生活について満足しているかを聞いたところ、全体の約7割が「満足」と答えた。この結果を資産運用している人としていない人に分けて見ると、資産運用をしている人は約2割が「満足していない」と答えたことに対し、資産運用をしていない人は約4割が「満足していない」と答えて格差が出た。退職後の生活資金が賄えているかという質問でも、資産運用をしている人は「賄えている」という回答が約7割を占めたが、資産運用をしていない人は約5割が「賄えていない」という答えだった。

■老後に向けた資産運用のポイントは「時間を味方に」

 今回の調査結果を受けて、三井住友アセットマネジメントのシニアストラテジスト市川氏は、「退職世代の方から、老後に備えた金銭面の準備は30代から始めた方が良いとの声が多く聞かれましたが、資産運用の基本は資産と時間を分散し、長期にわたって継続することであることを考えると、このご意見は極めて理にかなっています。個人の資産運用を考えると、1年間など限られた期間でのパフォーマンスが評価されて優劣がつけられてしまう機関投資家などプロの運用者と比べ、5年でも10年でも運用を継続できるなど、時間を味方につけることができます。これは大きな武器といえ、時間を味方に付けた運用のメリットを最大限に生かし、早いタイミングで資産運用をご検討いただきたい」と解説している。

 ただ、調査の結果では20代~50代の7割超が老後に備えて対策をしたいと考えているにもかかわらず、約35%が「具体的な対策の方法がわからない」と回答している。退職後の生活資金として公的年金や退職金以外に自分で用意すべきだと思う資金の金額は、20代~50代の平均で「約2900万円」、60代の意見は「約3300万円」だった。

 この老後の備えに向けた具体的な対策の立て方について市川氏は、「理想をいうと、準備したい資金をゴールとし、運用可能期間と投資可能金額を使って、何%で運用すれば到達できるかを計算します。そして、国内株式や海外債券などの期待リターンやリスクを調べて、目標リターンに相当する資産の組み合わせを考えて積立投資を行います。投資期間を長くとれる若い頃から計画した方が、無理のない投資計画が立てられます。また、投資期間が長くとれる場合には、最初は株式など比較的リスクの高い資産の割合を多くすることも可能ですが、時間の経過とともに徐々に安全資産を増やしてリスク水準を下げていく運用をした方が、退職直前期に思わぬ価格変動で資産が大きく目減りするリスクを回避できます。そして、1年のうちに何度かは、運用成果が計画から大きくブレていないかをチェックすることも大事です」と語った。

■改正DC法を控えデフォルト商品に相応しい商品開発すすむ

 また、DC(確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)に関する運用提案などに取り組んでいる金井氏は、「老後の生活資金の準備として積み立てるDCの専用ファンドとして『ターゲットイヤーファンド』(または、ターゲットデートファンド)への関心が高まっている」とした。日本では現在、DC法の改正案が国会で審議中だが、「米国のDC市場成長の要因のひとつとして、自動加入方式の導入、デフォルト商品でのターゲットデートファンドの採用が寄与、したことは、これからの日本でもヒントになるでしょう」と語った。

 改正DC法では、インフレリスクに対応できる運用商品をデフォルト商品に位置付けることが規定される見通しだ。ターゲットデートファンドは、バランスファンドの資産配分比率を自動的に変更し、運用期間が短くなるにしたがって徐々にリスク資産の比率を減らして安定度の高い運用にシフトする商品。三井住友アセットマネジメントは、DC専用ファンドとして「スミセイ・DCターゲットイヤーファンド(2020・25・30・35・40・45)」、「三井住友・DC年金プラン・ファンド(2020・30・40)」を取り揃えている。

 「ターゲットデートファンドについては、運用会社各社が2050年を目標運用期限に設定したファンドの設定を開始していますが、この年限の追加に加えて、REITやコモディティなどを運用対象資産に加えたマルチアセット型の新型ファンド、さらに、運用期間中の基準価額の下落率を抑える仕組みを付加したタイプなど、多様な商品が誕生しています。当社でも様々な可能性を踏まえた商品企画について検討を進めています。退職後に向けた資産形成を考える方々のニーズに合わせた新商品を提案していきたい」と意欲をみせた。

 さらに、今後、DCやNISAなどの非課税制度の普及に伴って、資産運用を始める人たちが増えることを期待して「投資経験のない方を対象に、資産運用について分かりやすいガイド役になるコンテンツの充実も重要な仕事」(金井氏)と位置づけている。今年4月から運用が始まったジュニアNISAについて「ジュニアNISA ガイドブック」を作成して制度の仕組みや使い方のイメージを分かりやすく解説。改正DC法についても法改正のポイントなどを解説した資料の準備に余念がない。「個人型のDC制度については、新法の施行に合わせて、分かりやすい専用サイトを作って情報発信を行っていく計画です」という。

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