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ターゲット・リスク、ターゲット・イヤー・ファンドなど長期の運用に資するファンドで年金形成をサポート=野村アセットマネジメント

2016-06-14
野村アセットマネジメント
クライアント・リレーションシップ・マネジメント部
部長
西 誠氏

 確定拠出年金(DC)法の改正案が成立し、2017年1月からは新しいルールでの制度運用が始まる。多くの国民にDC制度を使って老後の資産を積み立ててほしいという改正法の趣旨を受け、DC制度の関連機関は改正法への対応に力を入れている。野村アセットマネジメントのクライアント・リレーションシップ・マネジメント部 部長の西 誠氏に、同社のDC制度への対応と改正法への期待について聞いた。

DC制度に提供しているファンドで、残高の大きなファンドの特徴は?

 DC専用ファンドが55本、その他のファンドも含めて62本がDC向けに提供しているラインアップです。もっとも残高が大きなファンドは、「野村外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI」(信託報酬:税抜年0.22%)で残高が1,100億円を超え、現在のところ、当社のDC専用ファンドの中で最も大きな残高のファンドになっています。

 「野村外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI」の特徴は、インデックス(MSCI-KOKUSAI)の採用全銘柄を全て組み入れる「完全法」という方法を設立当初から一貫して採用していることです。「完全法」にすることによって、トラッキングエラー(ポートフォリオのリターンとベンチマークのリターンのかい離率)が低く抑えられるため、企業年金基金など専門的な立場で資産運用経験のある方から好まれる傾向があることも、採用が多い要因となっています。同じく完全法で運用している「野村新興国株式インデックスファンド(確定拠出年金向け)」(同0.56%)も、多くのDC制度で採用いただいています。

 DC制度の採用ファンドは、運営管理機関やプラン・スポンサー(DC制度導入企業)の厳しい吟味があるため、商品の独自性や運用実績などで明確なアピールポイントのある銘柄を採用いただくケースがほとんどです。

 たとえば、伝統4資産とは異なる資産クラスとして近年採用が活発になっている「REIT」や「新興国」というカテゴリーでは、当社の運用ファンドが残高シェア1位になるケースが目立っています。J-REITはアクティブファンドの「野村J-REITファンド(確定拠出年金向け)」(同0.95%)がトップシェア37.6%ですが、インデックスを安定的に上回る運用成績を評価していただいた結果です。また、世界REITでも「野村世界REITインデックスファンド(確定拠出年金向け)」(同0.53%)がシェア58.3%です。これは一般に日本を除く世界のREITを投資対象にするファンドが多い中、日本を含む世界のREITを投資対象にしている点がユニークだと評価されています。

 そして、「野村新興国債券インデックスファンド(確定拠出年金向け)」(同0.55%)は、一般に新興国債券ファンドが現地通貨建ての運用で提供されているところ、米ドル建てで提供し、為替リスクの分かりやすさを評価していただきカテゴリーで2位のシェア29.6%になっています。

 一方で、バランス型では「マイバランス70/50/30(確定拠出年金向け)」(同0.24%/0.23%/0.22%)がシリーズで約1,500億円の残高になりました。投資対象は伝統4資産のインデックスで、株式への投資比率を70%、50%、30%と固定して運用する分かりやすさ、信託報酬の低さなどを評価していただいています。

デフォルト商品の候補は?

 「野村DC運用戦略ファンド」(愛称:ネクスト10)(同1.20%)は、リスクコントロール型といわれるターゲット・リスク・ファンドですが、リスクを抑制しながら安定的なリターンの積み上げをめざしたい年金運用のニーズに応えられると思います。

 国内債券、国内株式、先進国株式など内外9つの資産とキャッシュに投資するバランスファンドですが、投資対象資産の下落局面ではキャッシュ比率を高めて運用し、リスク水準を年5.0%以下と為替ヘッジ付の外債程度の低位に設定しています。リスクコントロール型DCファンドの中ではシェア約52%になっています。

 また、「ネクスト10」より一段とリスク水準を低くした「野村DC運用戦略ファンドM」(同0.80%)は、ターゲット・リスクが年3.0%以下です。それぞれのファンドの設定来2016年4月末までのリスク水準(年率)は「ネクスト10」(2012年2月28日設定)がリスク4.05%、「野村DC運用戦略ファンドM」(2013年3月29日設定)がリスク2.82%でした。

 現在のマイナス金利環境の中、この手のバランス型の中でも比較的リスク水準が低い商品に対するニーズは高いものと考えます。

 一方、ターゲット・イヤー・ファンド「マイターゲット2030/2040/2050(確定拠出年金向け)」(同0.34%以下/0.36%以下/0.36%以下)は、米国で2006年にDC制度にデフォルト商品規則が導入されて以来、この種の商品がデフォルト商品として一般的に認定され、その後に残高が急拡大したという歴史を考えても、日本でも一定のニーズがあると考えます。

 「マイターゲット」のシリーズは、DCファンドとしても実績のある「マイバランス70/50/30」の資産配分を活用した運用を行います。たとえば、「マイターゲット2050(確定拠出年金向け)」は、運用当初は「マイバランス70」と同じ資産配分でスタートし、徐々に株式での運用比率を引き下げ、約20年後には「マイバランス50」と同等、そして、約30年後からの安定運用期には「マイバランス30」と同じ資産配分で安定運用を行います。

 そして、ターゲット・イヤーの5年前から「下値保全に配慮した運用」を行う安心機能を加えました。これは、資産が積みあがった年金の受取時にリーマンショック級の大きな下落局面を迎えてしまうことの備えとして付加した機能です。具体的には基準価額が5%下落した場合は、運用全資産をキャッシュ化して、下値基準値を切り下げて運用を再開します。基準価額が下値基準値改訂時を一定水準上回ることを待って下値基準値を切り上げて運用するなど、下落時に資産を守ることを第一にした運用を行います。

 実際に、過去30年間を考えると「マイターゲット」に付加した下値基準値にタッチするケースは、1987年12月の米ブラックマンデー、90年9月の日本のバブル崩壊、2001年10月の米同時多発テロ、08年2月の世界景気後退懸念、08年10月のリーマンショックと5回のケースがありました。年金の受け取り開始を待つ安定運用期間は、大きなショックで年金資産を減らさないことが重要になります。「マイターゲット」は、このような長期での年金運用で配慮すべき機能を加えることで、資産の成長から保全までを安心して任せていただくことができる商品にしました。

その他、DC制度向けの取り組みは?

 運営管理機関向けに2カ月に1回、「DCニュースレター」を届けています。また、地方銀行のDC担当者の方々を対象としたセミナーも毎年実施し、多くの方々に参加していただいています。ニュースレターやセミナーのテーマは、法改正のポイントやマイナス金利時代の資産運用についてなど、その時々でDC制度や資産運用に関する情報提供を行っています。

 今回の法改正によって、20歳~60歳までであれば、全ての方が個人型DCに加入することが可能になります。これまでは、働き方や勤務する企業の年金制度などによって加入資格の有無があったことと比較すると、注目度が格段とアップすると期待しています。DC制度が大きく成長するきっかけになるでしょう。

 運用会社としては、DC制度採用ファンドは一般の公募投信と違って、原則60歳までは解約して資金を引き出すことができませんので、長期にわたる運用が前提になっています。長期の運用に耐え得る高い品質の商品を提供し、加入者の方々の年金資産形成に貢献していくことは、運用会社としての使命だと考えます。積極的な商品開発と情報提供によって、DC制度の発展、成長に積極的に貢献していきたいと思っています。

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