DCニュース

 

スルー・リタイヤメント型のターゲット・イヤー・ファンド、投資教育コンテンツ提供も=アライアンス・バーンスタイン

2016-07-04
アライアンス・バーンスタイン
DC・NISA推進室長
後藤順一郎氏

 確定拠出年金(DC)法の改正案が成立し、2017年1月からは第3号被保険者や公務員も加入対象者になる。多くの国民にDC制度を使って老後の資産を積み立ててほしいという改正法の趣旨を受け、DC制度の関連機関は改正法への対応に動き始めた。アライアンス・バーンスタイン DC・NISA推進室長の後藤順一郎氏に、同社のDC制度への取り組みと改正法への期待について聞いた。

DC制度向けの商品提供は?

 現在、3つの商品をDC制度向けに提供しています。ターゲット・イヤー・ファンドの「アライアンス・バーンスタイン・財産設計」シリーズ、世界の株式に投資する「アライアンス・バーンスタイン・グローバル・オポチュニティーズ」(愛称:GGO)、そして、世界の債券に投資する「アライアンス・バーンスタイン・グローバル・ボンド・ファンド」(愛称:ボンド・ストーリー)です。

 これらのファンドは、DC以外にNISAや一般口座でもお取扱いいただいています。この中で、「財産設計」シリーズは、企業型DCをはじめDC制度への採用を積極的に働きかけています。ファンドの設定は2009年5月ですが、それを機に、社内にプロジェクトチームを立ち上げ、ファンドの提供のみならず、投資教育もニーズに応じて提供しております。

 投資教育では、わかりやすいコンテンツの提供を第一に考え、「長期」、「積み立て」、「分散」という投資の基本を伝えています。セミナーや勉強会で強調しているのは、「ライフサイクル投資」の考え方です。

 投資とリスクの関係を理解していただく上で、生涯で得るお金という視点で考えると、若い間は自分で働いて稼ぐお金が十分にあります。これを「人的資本」と呼んでいるのですが、金融資産にたとえると債券のような性格です。貯蓄(金融資産)が少ない若い間は、金融資産はリスク資産100%でも、そのリスクを「人的資本」、つまり働くことによってカバーできます。ところが、例えば50歳を過ぎて、退職年齢が近づいてくると、貯蓄は手厚くなっていますが、「人的資本」、つまり将来働いて稼げるお金は少なくなってきます。その時に、金融資産で大きな損失を被ってしまうとダメージが大きいので、資産運用に債券などより安定した資産を加える必要があります。

 このように、人的資本と金融資産のバランスを考えた資産運用が重要だと考えます。これをファンドの仕組みとして持っているのが、ターゲット・イヤー・ファンドです。DC制度は原則として60歳までは引き出すことができない、長期の資産形成を行う口座になるので、若い時には株式などのリスク資産を多く保有し、加齢とともに債券の保有比率を高めるという運用を自動的に行うターゲット・イヤー・ファンドが相応しいと考えます。

ターゲット・イヤー・ファンド「財産設計」の特徴は?

 「財産設計」は、“スルー・リタイヤメント”というタイプです。現在、「2020」、「2030」、「2040」、「2050」という4つのターゲット・イヤーを設定したファンドを提供しています。一般のターゲット・イヤー・ファンドは、たとえば、「2040」は、2040年が退職年齢(65歳)を意識し、その後は安定運用で資産を守ることを重視します。このタイプを“トゥ・リタイヤメント”といいます。「財産設計」は、ターゲット・イヤーに達した後も運用を継続します。その点で、退職年齢を“スルー(通過)”するのです。日本で“スルー・リタイヤメント”の考え方のターゲット・イヤー・ファンドは、「財産設計」だけです。

 たとえば、「財産設計 2040」は退職年齢(65歳)が2040年頃に来る方のためのファンドです。現在、40歳前後の方々がメインの対象者になります。当初は債券1%、株式89%、リート10%から運用をスタートし、10年後に債券を15%加え、株式を75%に減らします。そして、20年後に債券を29%に増やし、株式を61%にします。30年後は債券47%、株式43%、リート10%という配分比率で迎えます。

 「財産設計」は退職年齢時点でリスク資産が50%を超えていて、まだ、運用で増やすことをめざしています。そして、80歳になる頃に、債券65%、株式25%、リート10%という比率にして安定運用に移行します。このように退職年齢を意識しつつも、80歳までの運用を考えた資産配分比率調整を行うのが“スルー・リタイヤメント”型の「財産設計」の最大の特徴です。

 これは、一生涯にわたるお金のリスクを考えると、リスク資産の「価格変動リスク」を調整するだけでなく、「貯蓄不足リスク」、「長生きリスク」、「インフレリスク」など、様々なリスクに備える必要があり、そのためには運用する期間を長く取ることが必要だと考えているためです。「財産設計」によって、「80歳まで運用することで、長生きのリスクに備える」ということについて考えてみていただきたいと思います。

 また、長期の運用を意図するため、市場が短期的に下落する局面では機動的に資産配分の変更を行い、資産を守る「下落リスク抑制機能」をつけました。基本資産配分から株式・リートの割合を最大20%の範囲で引き下げて債券に移行するという運用をします。この機能は2013年に新たに追加しました。40年にわたって運用することに対応するファンドとして、新しい金融テクノロジーが出た場合は、それらを運用手法として取り入れていくということが重要なことになると考えています。

 一方、為替リスクについては資産クラス別に為替ヘッジを行って過度に為替リスクを負わないようにしています。原則として海外債券は100%ヘッジし、安定資産として為替リスクを回避した運用を行います。海外株式と世界のリートは50%の為替ヘッジとして為替変動による影響を抑制しています。

確定拠出年金法の改正によって、デフォルト商品の指定など運用商品にも新しい動きがあります。改正法への対応は?

 当社では常に一歩先を見据えた商品提供を行ってきています。2009年にターゲット・イヤー・ファンドを提供し始めた時から、業界に先駆けて“スルー・リタイヤメント”型の商品を用意しました。米国では、すでにターゲット・イヤー・ファンドの3分の2は“スルー・リタイヤメント”型になっています。また、2013年に「下落リスク抑制機能」を追加するなど、新しいテクノロジーの追加にも積極的に取り組んでいます。

 今後も主力商品である「財産設計」シリーズについては、必要に応じて機能拡充を進めたいと考えています。たとえば、債券の運用において「インフレ連動国債」の市場が一段と拡大してくれば、これをインフレヘッジ資産として運用に取り入れることはあり得ます。

 また、現在はアクティブファンド100%で運用する体制を取っていますが、一部効率性の高い資産をパッシブファンドに置き換えることで、機関投資家並みの高度な運用を実現するのと同時に、信託報酬を引き下げるという選択肢もあります。現在の実質的な信託報酬の水準は、税込で1.01%~1.56%程度になっていますが、他社のパッシブ型のターゲット・イヤー・ファンドの中には0.3%程度の信託報酬のファンドもあり、信託報酬水準を引き下げてほしいという声も聞いています。

 一方、投資教育の点では、2011年に出版された「女子の幸福論」にコンテンツ提供を行うなど、分かりやすく、やわらかい内容のコンテンツを作ってきました。証券会社や銀行とのタイアップによってセミナーを開催してきています。投資教育についてはDCに特化するということではなく、NISAや一般的な口座も含めて、積立による資産形成を広めていくという考え方に立って、幅広く情報提供活動を進めたいと考えています。

バックナンバー

2014 | 2015 | 2016 | 2017