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グローバルにDCビジネスを手掛ける知見を活かし「ターゲット・デート・ファンド」を日本の制度に最適化して提供=フィデリティ投信

2016-07-07
フィデリティ投信
確定拠出年金部長
本庄洋介氏

 確定拠出年金(DC)法の改正案が成立し、2017年1月からは第3号被保険者や公務員も加入対象者になる。多くの国民にDC制度を使って老後の資産を積み立ててほしいという改正法の趣旨を受け、DC制度の関連機関は改正法への対応に動き始めた。フィデリティ投信の確定拠出年金部長、本庄洋介氏に、同社のDC制度への取り組みと改正法への期待について聞いた。

DC制度へのこれまでの取り組みは?

 2001年10月のDC制度スタート当初から積極的に取り組み、トラックレコード(運用実績)の長いファンドを提供しています。現在、合計22本のファンドを提供していますが、うち専用ファンドは4本のみで、基本的に一般の窓口で販売されている商品と同じ商品を、DC制度においても活用していただいています。

 もっとも残高が大きいのは「フィデリティ・日本成長株・ファンド」です。公販併用ファンドですが、16年3月末現在で2,325のDCプランでご採用いただいています。3月末時点の企業型DCプラン数は国内全体で約5,000プラン弱なので、約47%のDCプランでご採用いただいている計算になります。公募も含めたファンドの純資産総額は3,184億円(16年6月末現在)ですが半分超がDC経由での残高ですので、DCファンドとしても最大級のファンドです。

 次に、日本を含むグローバル株式に投資する「フィデリティ・グローバル・ファンド」も、3月末現在で653プランに採用していただいています。外国債券型の「フィデリティ・ストラテジック・インカム・ファンド Aコース(為替ヘッジ付き)」も85プランでご採用いただき、採用数が拡大傾向にあるファンドです。特に日銀のマイナス金利導入以降は、照会件数が増えています。

 また、商品提供のみではなく、DC関連の情報提供についても情熱を持って取り組んできています。DC制度として先行する米国や英国、そして、ドイツにおいて包括的なサービスを提供している経験を踏まえ、そこで得られた知見を積極的に発信し続けています。

 たとえば、運営管理機関向けに発行している「確定拠出年金フォローアップレター」は、DCや年金制度に関するトピック分かりやすく伝えるレポートとして四半期ごとに発行し、10年以上にわたって提供しています。毎回、グラフやイラスト付きで分かりやすい内容にしているため、運営管理機関の皆様が事業主や加入者の方々向けに直接提供する情報の一部としても活用いただいております。

 そして、新聞広告やWebを使った独自の投資啓蒙コンテンツ「Think.」キャンペーンは、若年層を中心にした投資無関心層を対象に「気づき」を喚起する企画内容です。昨年から日経新聞や動画サイトを中心に展開しています。

 また、動画サイト「Fidelity TV」では、投資未経験の方々が投資について考えるきっかけになるような内容を中心として、コンテンツの数を増やしてきています。例えば、昨年末にリリースした「フィデリティタウンで学ぶ投資のABC」は、投資初心者から中級層を意識した動画で、一風変わったジオラマ人形劇を使って、親しみやすさにこだわって作成したコンテンツです。

 さらに、運営管理機関や投信販売会社、メディアの皆様を対象とした「DCセミナー」を年1回開催し、事業主の方々を対象とした「DCワークショップ」も定期的に開催してきています。

 一方、フィデリティ退職・投資教育研究所では、「サラリーマン1万人調査」など、一般の方々を対象とした大規模アンケートを継続的に実施し、そこで得られるデータを分析して広く情報発信しています。たとえば、今年6月発表のレポート『意外に遅れている公務員の退職準備』は、来年1月から個人型DCの加入対象者になる公務員の方々の投資に関する意識を分析し、「公務員は会社員と比較して積立投資について前向き」など、データから読み取れる意外な実態を明らかにしています。

 このように、広く投資や資産形成についての興味を喚起するコンテンツを多数提供していますが、これらはDCの投資教育向けの資料としても活用が可能です。

改正DC法で注目されるデフォルト商品の候補は?

 米国や欧州で手掛けているDCビジネスの経験を踏まえて、ターゲット・デート・ファンド(TDF)に絞って提案しています。米国はDC制度に30年以上の歴史があり、もっともDCが普及した市場ですが、その米国においても無関心層にアプローチすることは容易ではありませんでした。米フィデリティは96年にTDFのコンセプトを持ったファンドを世界に先駆けて立ち上げたものの、ニーズはすぐには顕在化しませんでした。06年の「年金保護法」の成立をきっかけに、TDFが爆発的に伸びました。

 米国においても、DCでの運用はリタイヤまで「任せる」という仕組みが好まれたのです。年齢によるリスク許容度の変化を、バランス型ファンドの資産配分の比率を変更することによって最適化していくというTDFのコンセプトは、資産運用についてあれこれ考える必要がなく、最初から1本のTDFだけに継続して投資すればよいというシンプルな選択肢として、若い層を中心に広く受け入れられました。米国ではDC制度でTDFに100%投資している加入者の割合が全体の約4割にのぼります。日本でも、デフォルト商品の議論が進むにつれて、TDFの存在感が高まってくると考えています。

 また、「フィデリティ・ターゲット・デート・ファンド」は、日本の加入者のニーズに合わせた商品性を持っています。基本資産配分比率の変更は「リスク最適化手法」を用いていますが、この「リスク最適化手法」は、ドイツで発展・普及した方法です。ドイツの企業型DCは、退職時に拠出元本の合計に対して時価が下回った部分を企業側が資金補填するという制度になっていて、元本割れのリスクを極力抑える運用が求められます。この知見を活かし、日本においても過去40年間の運用で、いつ拠出を開始しても元本毀損確率が3%未満という配分比率の変更パターンを導き出しました。この「リスク最適化手法」は、元本確保ニーズが強い日本のDC制度にも合致していると思います。

 そして、ターゲット・デート(退職時)時点ではキャッシュ100%にすることも大きな特徴です。これは、日本において退職時の税額控除の恩恵を活かすために、DCで運用した資金を一時金として一括受取する人が9割以上と圧倒的に多いことに対応しています。

 さらに、信託報酬の水準によって、パッシブ運用で低コストを追求する「ベーシック」と、アクティブ運用でプラスαの運用成果をめざす「アクティブ」の2コースを用意しました。「アクティブ」コースの信託報酬は年率0.20%~1.56%ですが、「ベーシック」コースは年率0.13%~0.40%です。

確定拠出年金法の改正に合わせて注力していくことは?

 投資教育コンテンツの提供や、フィデリティ退職・投資教育研究所の調査レポートなどを通じた情報発信などの活動に一層力を入れていきたいと考えています。「ソートリーダーシップ(Thought Leadership)」といわれる活動です。米フィデリティは、米国においては、日本の運営管理機関に相当する「サービスプロバイダー」としてDC市場で約25%のシェアを獲得しています。その活動の中で得た様々な知見を、日本のDC制度の発展のために広く発信していきたいと思っています。

 DC制度には、拠出限度額があるため、この制度だけで資産運用が完結するものではありません。一般の証券口座やNISA口座など、DC以外の口座も上手に使って資産形成を行っていくことが肝心です。当社が、DC専用ファンドをあまり設けずに、一般の公募投信をDC制度でも使っていただいているのは、あらゆる口座でも変わらずに使っていただきたいという思いが背景にあります。皆さまの長期の資産形成に貢献できる質の高い商品と付加価値サービスを引き続き提供してまいります。

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