DCニュース

 

DCは重要な制度になり得る、あらゆる機会を通じ普及に努める=投資信託協会

2016-07-08
投資信託協会
企画政策部長
竹腰雄一郎氏

 確定拠出年金(DC)法の改正案が成立し、2017年1月からは個人型DC制度で加入対象範囲が大幅に広がる。従来は加入資格のなかった第3号被保険者や公務員も加入できるようになる。多くの国民にDC制度を使って老後の資産を積み立ててほしいという改正法の趣旨を受け、DC制度の関連機関は改正法への対応に力を入れている。投資信託協会は、DCについて、どのような役割を担っていくのか、同協会の企画政策部長の竹腰雄一郎氏に聞いた。

DC普及のために要望されていることは?

 投信協会では5月26日に要望書をまとめ、厚生労働省年金局 企業年金国民年金基金課に提出しました。今回の法改正は2001年の法律制定以来の大きな改正であり、特に今後を見据えた個人の自助努力による資産形成を促す重要な契機になると、大変前向きに捉えています。とりわけ個人型DCの加入者範囲の拡大で、この制度に関する関心が高まることを期待しています。

 その中で、2つの点を要望しています。ひとつは、指定運用方法、いわゆるデフォルト商品の選定についてです。基本的な考え方として、加入者それぞれに老後を迎えるまでの期間が異なりますので、投資期間や資産分散を含むリスク管理という面を活かした商品で、かつ、加入者にとって分かりやすい商品が相応しいと考えます。老後に向けて資産形成をすることを考えた場合に、元本確保型商品はデフォルト商品に適切ではないと考えます。

 また、指定運用方法の議論の中で、欧米では、一定の条件の下で、デフォルト商品による運用の損失について事業主の責任が問われない制度になっています。日本でも、たとえば、「事業主が加入者に対しリスクの所在について理解を促す投資教育を適切に行う」、「加入者への通知などの手続きを適切に行う」などを条件に、デフォルト商品の損失について事業主に責任が問われないことを明確化することが重要と考えます。

 そして、個人型DCにも指定運用方法を設定することが、加入の後押しにつながると思うので、検討をお願いしています。

 2つめは、運用商品の上限数の規定のあり方についてです。多数の選択肢を望まれる加入者が不利益を被ることがないように、配慮した上限数を設けていただきたい。また、個人型においては、商品選択に対するニーズは企業型よりもさらに多様だと思いますので、上限数については、企業型と個人型は切り分けて考えるべきではないかと考えます。個人型においては上限数の規定の対象外とする、あるいは、上限数を設ける場合でも企業型よりもより十分に多い数を設定すべきではないかと考えます。

「DC普及・推進協議会(仮)」への参加など、DC制度普及に向けた取り組みは?

 「DC普及・推進協議会」へは、ぜひ参加したいと思っています。投信協は、「NISA推進・連絡協議会」にも参加しています。そこで、愛称の決定にも係わり、実務上の取扱いやQ&Aの取りまとめなどにも意見を述べる形で参加しました。また、2月13日の「NISA(ニーサ)の日」に合わせてNISAの啓発普及セミナーを開催し、NISAの周知を図るための新聞広告も出しました。

 DCでも「DC普及・推進協議会」での議論に係わり、そこで決定した企画等にも積極的に参画していきたいと思っています。今年度は限られた予算の中で工面して取り組みますが、来年度はこの分野への予算を拡大する方向で検討したいと思っています。

 DCは自助努力による資産形成の手段としてNISAとともに、とても大事な制度であり、利用者によってはDCの方が重要な制度になるのではないかと考えています。

 当協会はWEBサイトに「年金ラボ」というコーナーを設け、DCの基本的な説明を映像で解説していますが、今回の制度改正を受けて、できるだけ早く内容を改める必要があると思っています。

 また、投資の基本として、「リスクとリターンの関係」、「資産の分散」、「時間の分散」、「中長期保有」の4つを説明するリーフレットを作成し、WEB動画でも詳しく解説しています。加えて、投資信託の運用会社の仕事の内容を紹介する映像コンテンツも公開しており、投信に関わる人達の仕事ぶりを見ていただくことにも取り組んでいます。このような情報発信を一段と強化する考えです。

 さらに、年に6回、全国セミナーを開催しており、今年度は6月の福島県を終えたところですが、10月に三重県、11月に岡山県と栃木県、1月に大分県、2月に京都府で行う予定です。また、働く女性の資産形成をテーマに女性誌とタイアップしたセミナーを、10月に東京・大阪・名古屋で開催します。このようなセミナーでNISA、ジュニアNISAに加えてDCの説明もしていきます。あらゆる機会をとらえて、DCの啓発・普及に努めていきたいと考えています。

DC制度への期待は?

 DCを通じて老後の安心した生活を送るための資産形成を考えた時に、投信への期待は大きいと思います。また、投信業界にとっても投信の利用拡大につながることになり、大いに期待しています。

 年金制度を通じた投信の利用について、アメリカでは投信残高に対し45%がIRA(個人退職勘定)や職域DC(401k)を通じた買い付けになっています。これに対し、日本では、投信全体の残高97兆7500億円(2015年末)に対してDC専用ファンドの残高は3兆7000億円であり、3.8%となっています。米国と比較して相当開きがありますが、その分、キャッチアップする余地が大きいと考えています。

 一方で、金融庁が16年2月に実施した「国民のNISAの利用状況等に関するアンケート調査」を見ると、投資未経験者に対して「資産形成のための有価証券投資の必要性」については、「必要ない」という回答が83%。「投資教育を受けた経験」については、「ない」という回答が71%。投資教育を受けた経験のない方に、「金融や投資に関する知識を身に付けたいか」との問いには、67%の人が「身につけたいと思わない」と答えています。

 投資を行ったことのない人の多くが、有価証券投資の必要性や金融・投資の知識習得について、関心度が非常に低いという結果となっています。このような現状を踏まえると、「DC普及・推進協議会」で行う啓発・普及活動は、単にDC制度を知ってもらうことにとどまらず、資産形成の必要性について多くの方に理解してもらうことが重要になると感じます。関連する業界が協力して行っていく必要があります。

 6月29日に総務省が発表した統計によると、65歳以上の割合が26.7%になりました。25%を超えたことで、4人に1人以上の方が御高齢の方となりました。現役世代の老後に向けた資産形成がますます必要になってきたと感じます。投信業界は資産形成の手段としての金融商品を提供する立場ですが、DC制度の普及に深く関わり、多くの方々にご利用いただける質の高い商品提供、そして、情報発信に努めてまいります。

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