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GPIFの保有銘柄開示、全個別銘柄を7月29日に全面開示開始

2016-07-25
第39回 年金部会の様子

 社会保障審議会年金部会(第39回)が7月25日に開催された。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用について議論が交わされ、「オルタナティブ資産にLPS(投資事業有限責任組合)への出資を通じた投資」について基本的な考え方が示され、また、「保有銘柄の開示」、「基本ポートフォリオの定期検証」について報告があった。GPIFの保有銘柄について、7月29日に15年3月末時点の全保有銘柄(国内債券、国内株式、外国債券、外国株式)の株数(株式の場合)と時価総額がホームページを通じて公開される。以降は、毎年7月に前年度末(3月末)の状況を公表していく。

 GPIFは7月29日に「平成27年度(2015年度)業務概況書」等を公表する。業務概況書では平成27年度の収益率等の運用状況を公表するが、その際に合わせて、保有銘柄の一覧も発表し、一段と情報開示を進める。GPIFによる投資銘柄の公表については、銘柄によってはGPIFが保有していることが株価の変動要因になりかねないと慎重な意見もあったが、「欧米の公的年金においては、全面開示がスタンダード。かつ、GPIFの運用はTOPIX(東証株価指数)等を目標にパッシブ運用していることは既知の情報であり、保有状況の開示が過度なインパクトを市場に与えることは考えにくい」という判断で全面開示に踏み切る。

 ただし、開示による市場への影響等を検証するため、第1弾として7月に2015年3月末(1年4カ月前)の情報を開示し、第2段階は11月25日に16年3月末(8カ月前)、第3段階として17年7月に17年3月末(4カ月前)の情報を開示するという3段階での開示を予定している。開示内容は、債券については「発行体」と「時価総額」、株式については「銘柄名」、「株数」、「時価総額」を開示する。「業務概況書」では時価総額上位10名柄に限定するが、ホームページではアルファベット順に全銘柄(発行体)を開示する。

■GPIFの基本ポートフォリオは、検証の結果「見直しの必要なし」

 現在の基本ポートフォリオについては今年3月~4月に3回の運用委員会による検討の結果、「資産構成割合を変更する必要はない」と判断したことが報告された。各資産の期待リターンの検証結果では、国内債券が基本ポートフォリオの策定時(平成26年<2014年>10月)のマイナス0.2%から、マイナス0.4%へと下方修正したものの、国内株式、外国債券、外国株式については、ほぼ変わらないリターンが得られるという結果になった。

 想定運用期間を平成51年<2039年>という25年間に置いているため、日銀のマイナス金利政策導入など過去1年間の市場の変化が、期待リターンや想定リスクの水準を大きく変えるほどのものではなかった。また、予定積立金額を下回る確率については、策定時が「経済中位ケース」で40%だったものが、15年12月末を起点としたシミュレーションでは外貨建て資産のリスクプレミアムを変更なしにした場合は24%、外貨建て資産のリスクプレミアムを引き上げた場合は21%と、予定積立金額の確保する可能性が高まるという検証結果になった。

■オルタナティブ資産への投資は15年12月末0.04%から拡大方針

 一方、オルタナティブ資産(インフラストラクチャー、プライベートエクイティ、不動産)への投資については、15年12月末現在、積立金全体に占める割合が0・04%だが、基本ポートフォリオにおける位置づけは「リスク・リターン特性に応じて、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式に区分し、資産全体の5%を上限」と規定している。これまでは、「運用体制の整備中」という位置づけだったが、16年3月に運用部に「オルタナティブ投資室」を設置したこと、オルタネティブ投資、および、運用リスク管理の専門人材の採用が進んでいることを受け、運用規定に則って拡大する意向だ。世界の公的年金運用が積極的に活用している手法をGPIFも取り入れる。

 LPSを通じたオルタナティブ資産への投資については、政令で規定する。「特定案件への投資の回避」、「レピュテーションリスクの回避(GPIFの投資分が50%超にならない契約に限る)」、「GPIFの参加するLPSが不動産を直接保有しない」、「適正手続き、透明性を確保する」という要件を設けて参加するという政令の改正内容が示された。

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