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厚生労働省、「iDeCo」普及は走りながら環境整備し「自分でつくる年金」の理解と利用を促す

2016-09-29
厚生労働省 年金局
企業年金国民年金基金課長
青山桂子氏

 確定拠出年金(DC)個人型の愛称が「iDeCo(イデコ)」に決定し、普及活動が本格化し始めた。17年1月からは加入対象者が第3号被保険者や公務員にも広がり、実質的に60歳以下の全ての成人が加入できる制度として大きく門戸が広がる。制度の健全な発展のための環境整備を行っている厚生労働省年金局企業年金国民年金基金課長の青山桂子氏に、「iDeCo」の普及に向けた取り組みと今後の環境整備について聞いた。

 

制度発足から15年以上を経過しているものの、個人型確定拠出年金制度は加入者が約27万人にとどまる。これまで普及が進まなかった理由をどのように考える?

 従来のDC制度は企業年金という考え方があり、個人型DCは企業に年金制度がない会社員、また、自営業である第1号被保険者に、公平性を確保するために存在する制度だった。補完的な選択肢というか、すき間を埋める制度だった。だから加入が進まなかったことに問題がなかったとはいえないが、今回、加入の制約がない制度に変わることで、大きく状況が変わると思う。

 確定拠出年金法を改正し、第3号被保険者も、企業にDC制度がある会社員も加入対象になった。誰でも加入できる制度になったことで、他の制度と並立する選択肢になったといえる。この点を強調して周知していきたい。

「iDeCo」の普及にあたって強調していくポイントは?

 誰でも入れる制度になったという制度の存在そのものに加え、大きな税制優遇のある制度であるというメリットをセットで、分かりやすく説明していかなければならないと考えている。

 特に、DC制度は、自分で運用していかなければならない制度なので、不安に思う人もいるだろうが、自分のため、自分の老後所得のための制度であること。また、拠出していることが老後の助けになるという制度の狙いを周知していきたい。

 そして、来年1月からは第3号被保険者も加入対象になるが、自分で自分の資産を運用していくということの経験のない方、不慣れな方も多く対象になると考えられる。それぞれの状況に応じて、運用の目的も異なってくると思われるので、状況に合わせたきめ細かな周知を行っていくことも重要だと考えている。

確定拠出年金普及・推進協議会が発足し、信託協会から労働金庫連合会までオール金融が参加しているが、同協議会に期待していることは?

 確定拠出年金普及・推進協議会は、国民年金基金連合会と運営管理機関連絡協議会が共同で事務局を務めるが、運営管理機関である金融機関が、加入対象者の方々に働きかけ、説明をすることによって初めて制度は動いていくものだ。金融機関には、現場で培ってきた知見やノウハウ、様々なパイプを提供いただき、手を携えて普及・推進に取り組んでいきたい。

 まずは、制度を周知する広報活動について、きめ細かな広報を行う点でアイデアを出していただく。また、制度の使い勝手や事務処理が円滑に進まないと、制度の普及も滞ってしまうため、事務手続き上の改善点なども協議会で議論していくことになる。厚生労働省は、オブザーバーとして普及・推進協議会の取り組みをバックアップしていきたい。

普及・推進協議会は金融庁もオブザーバーに加わり、両省庁で協調して取り組む姿勢がうかがえる。「iDeCo」の普及にあたって省庁連携の考え方は?

 「NISA」と「iDeCo」について、制度の違いやメリットを理解した上で、それらを組み合わせて活用するということは、有効な手段になると思うので、金融庁との連携は重要だと考えている。

 現在のところ、具体的に連携について打ち合わせを行っている段階ではないが、金融庁は「貯蓄から投資へ」という政策を推し進める上で、NISAとともに、DCにも期待を寄せていただいているので、「iDeCo」の普及について、同じ方向を向いて取り組んでいけるものと考えている。

 また、年金局では「年金の日」を11月30日に定め、公的年金の理解を促すキャンペーンを行っているが、今年からは、さっそく、自分でつくる年金としての「iDeCo」も加えた広報資料を作ろうと検討している。「年金の日」や「ねんきん月間」(11月)に合わせた「iDeCo」の普及にも積極的に取り組みたい。

投資教育についての考え方は?

 制度加入者が拡大するにつれ、ますます重要になっていく課題だと認識しているが、具体的にどうするのかということは、これから考えていく。

 企業型DCでは継続教育について義務の度合いを強め、また、中小企業の投資教育は企業年金連合会に委託できるように法改正を行った。教育内容の点では、企業型も個人型も変わりがない。企業型での取り組みが進むことによって、個人型にも展開できる良いコンテンツや教育のやり方などが見えてくるのではないかと期待もしている。

 今回、来年1月に個人型の対象範囲を大きく広げるのは、制度改正の最初の変化になる。まず、門戸を開いて多くの方々に利用していただくことを優先する。制度を支える環境整備は、走りながら整えていくことになる。

「デフォルト商品の規定」「運用商品数の上限の規定」など、これから議論をして2年後に施行するという流れになっている。具体的な議論の進行は?

 制度の施行は2年後になっているが、商品規定に変更を行うことは、運営管理機関やレコードキーパーの準備の都合もあるため、2年間も議論する余裕はないと思っている。現在、運用について議論する専門部会を立ち上げる準備をしているが、今年の冬から議論を開始し、来年の春か夏には結論が出るようなスピード感で進める考えだ。

 デフォルト商品や商品数など、現状に変化を求めることについては、変えることによってどのような問題が出るのか精査の上で変更することが重要だと思っている。専門部会では、まずは関係者からのヒアリングを行い、良く意見を聞いて進めていきたい。

制度の普及には兼業規制の緩和も重要になるのでは?

 兼業規制の緩和は、要望の強い項目であると認識している。企業年金部会でも、兼業規制見直しの議論はあり、営業を兼ねる人が商品内容の情報提供はできるようにした方が良いという意見が出ていた。

 法令では、運営管理機関は加入者に対し、忠実、かつ、中立な立場でサービスを提供することが求められているので、規制緩和をするのであれば、忠実性や中立性が担保できることをセットにして考えていかなければならい。

 たとえば、近年「フィデューシャリー・デューティ」が金融機関に強く意識されているが、フィデューシャリー・デューティと、運営管理機関に求められる忠実・中立性は同じ方向を向いている。金融庁ともよく連携し、合理的な規制になるように検討していきたい。

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