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フィデリティ投信、ワーク・ライフ・バランスをテーマにDCセミナーを開催

2017-10-06


 フィデリティ投信は10月6日、東京駅前のJPタワー ホール&コンファレンスで「フィデリティ DCセミナー 2017」を開催した。企業の確定拠出年金(DC)の担当者を主たる対象とした同セミナーで今年度のテーマに置いたのは「ワーク・ライフ・バランス」。日本で「働き方改革」がいわれ、残業をなくして有給休暇の取得率を増やそうという大号令がかかる喫緊のテーマを取り上げた。冒頭であいさつに立ったフィデリティ投信の代表取締役社長のチャック・マッケンジー氏は、「退職後の生活のため資産形成を若い頃から始めることを伝えるためにも、コミュニケーションが重要である。社員のワーク・ライフ・バランスを考えた取り組みが、DCにつながる新しいコミュニケーションのきっかけにもなる」と、米国フィデリティの近年の取り組みについて紹介する意義を伝えていた。

 セミナーでは、安倍内閣の産業競争力会議の民間議員を務め、霞が関の働き方を加速させる懇談会の座長でもあるワーク・ライフバランス代表取締役社長の小室淑恵氏が「社員が輝く働き方~秘訣はワーク・ライフバランス~」と題して講演。日本の企業で進む「働き方改革」の先行事例を紹介。続いて、フィデリティ・インベストメンツ シニア・バイス・プレジデント ソート・リーダーシップのジニー・トンプソン氏が「米国フィデリティにおけるフィナンシャル・ウェルネスの取り組み」について講演し、米国で広がる「フィナンシャル・ウェルネス」という考え方について語った。

 小室氏は、「残業を減らすと、企業の業績が良くなる。社員の婚姻も増え、子どもの出産も増える。このような実例が増えていることが、政府の働き方改革を強烈に後押ししている」と語り、小室氏がコンサルに入った企業の変貌ぶりを具体的に語りながら、社内でワーク・ライフ・バランスの考え方を浸透させる方法について講演した。

 小室氏が経営層を動かすポイントに挙げたのが、「日本は人口オーナス期(人口構造が経済の重荷になる時期)を迎えていて、かつての高度成長期を支えた人口ボーナス期(人口構造が経済にプラスになる時期)の発想とは180度異なる働き方が必要」ということ。「人口ボーナス期には、若くて安い労働力が大量にいたので、なるべく長時間働いて、早く安く大量に作れた会社が勝ったが、現在は、なるべく男女ともに働き、短時間で成果を出す癖を徹底的にトレーニングして利益を出す時代」という。

 そして、「育児や介護などを行う人に配慮した社内制度を作ると、家庭のある人と独身者の対立構造を作ってしまい、業績にはマイナス。全従業員を対象にした職場全体の働き方を変えていく本質的な取り組みをすることで、社員は自己研さんや健康管理に気を配るようになり、生き生きと働いて業績が向上することにつながる」とした。また、「すでに、深刻な少子化によって2100年には人口が現在の4割に、しかも高齢化率が40%超という社会保障の限界を超え、経済が破たんする将来が見えている。男性も女性も効率よく多様に働けるようにする日本の働き方改革は待ったなし」と強調していた。

 ジニー・トンプソン氏は、米国における「フィナンシャル・ウェルネス」についての研究の進化について語り、「米国のミレニアル世代(1980年代から1990年代に生まれた世代)の48%が学資ローンを利用し、X世代(1960年代から1970年代に生まれた世代)の70%が住宅ローンを利用している。このローンを組んでいることは、ストレスになって健康に悪い影響を与えている。この他にも、親の介護など生活面のライフ・イベント、あるいは、仕事面での組織改編やM&Aなどによるストレスが健康に及ぼす影響もある」と、生活や仕事の上での様々な変化と生活の満足度の関係は強く結びついていると語った。実際に、仕事に身が入らないと感じるミレニアル世代は51%に達し、健康に問題を抱えていても経済的な理由で医療・治療を受けない人が24%も存在するというデータもある。

 そこで、フィデリティでは、「フィデリティ・フィナンシャル・ウェルネス・スコア」を作って、「予算管理」「負債」「資産形成」「万一への備え」などの項目で、個人の現状をスコアによって把握するツールを開発。スマートフォンアプリにして手軽に使えるツールとして提供することで、多くのDC加入者のデータを分析した。経済的に十分ゆとりのある「エクセレント」から、注意が必要な「アット・リスク」まで4段階で比率を見たところ、「エクセレント」が14%、「アット・リスク」が16%になった。そして、「アット・リスク」層は、手取り給与に占める必要経費の比率が58%と高く、税引き前給与に占めるローンの支払いが27%など、資金の日常的なやり繰りに困っている様が明らかになったという。「家計所得が年間16万7000ドルの世帯でもアット・リスクの分類される人はいた」という。

 また、この「フィデリティ・フィナンシャル・ウェルネス・スコア」を実施した企業では、「50%の加入者が何らかのアクションを起こした。アクションの内容は、プランニング・ツールを活用したが59%、積立金額を増やしたが44%、資産配分を改善させたが52%など。現状を客観的に把握することの重要性が良く表れている」と語った。(写真は、フィデリティ・インベストメンツ シニア・バイス・プレジデント ソート・リーダーシップのジニー・トンプソン氏)

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